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そんな、ハッキリ言わんでも。
勝手ながら阿部さんが私の意図を汲み取ってくれなかったことを腹立たしく思ったし、そんなに伝わらないものなのかと自分の演技力の無さにもがっかりもした。
あはは、とその場しのぎにもならない乾いた笑いを溢すも彼の反応は寂しいもので、私はこれ以上空気が悪くなろうが喋るもんか！と唇を固く結んで睨みつける。
こちらを宥めるように「勘違いしないで欲しいんだけど」と言葉を足されてムッとする。
私は別に、何も言ってませんけど。
唇を尖らせても、怒ってますよという顔をしても、それでも彼は関係なく話を続けた。
「あくまでもこういう状態のAさんが信用できないって話ね。普段の仕事とかもちろんプライベートの部分も含めて疑うようなことなんかないよ。ちゃんと信用してる。そもそも──」
「俺のファンだもんねぇ」なんてこちらを追い詰めるように嫌味な言い方をしてくるので思わず口を開いて「いまそれ関係ないじゃん、ズルい」と噛み付けば、阿部さんは私の悔しがる顔をまじまじと観察しながら、片側の口角をニンマリと持ち上げた。
なんだ、私にイジワル言えるくらい元気じゃん。
別に私が頑張らなくても、空気を変えることは出来たのだ。
それが分かると、なんだか疲れがどっと押し寄せた。
──俺も、人に頼るのが苦手なんだよね。
私と阿部さんは、良くも悪くも似たもの同士。
だからこそ、どこまでも相手のことを深く知れてしまいそうで、まだ自分の腹の中を見せる気にはなれない。
少なくとも、私の場合はそれが、怖い。
「ねえ、やっぱりちゃんと寝てた方が良いんじゃないの？」
「でもほら、洗濯物もあともうちょっとだし、全然動けてるから」
両手を広げてほらほらとアピールすると、阿部さんの呆れた気配が伝わった。
「動けるからってあんま調子に乗らないの。そもそも、ちゃんと熱は測ったの？」
「あ、はい。さっき洗濯物を回収してる時についでにピピっと」
「その調子だと微熱くらい？」
「いえ、38度です」
「……………え」
和みかけていた空気がピシッと音を立てて固まった。
阿部さんは今のは聞き間違いだろうという顔で、こちらを穴が開くほど見つめながら数回瞬きをした。
もちろん私の言い間違いでもなければ、彼の聞き間違いでもない。
私だって最初にそれを見た時はにわかには信じられず、3回も測り直したのだ。
3回目に同じ数値が出た時は、さすがに観念したけど。
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泥濘(プロフ) - ちいさいばあばあさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありません。話の展開がゆっくりですが、引き続き今後の展開を見守っていただければ幸いです。 (2月25日 22時) (
レス) id: 014ca7ae0d (このIDを非表示/違反報告)
ちいさいばあばあ(プロフ) - あべちゃんとマネちゃんが付き合う事になるといいですね。 (2月14日 17時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泥濘 | 作成日時：2024年1月25日 0時
