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複雑な手続きなんてものはない。
事務所の駐車場に車を返す。
以上。
なので当然、全員で向かう必要もない。
しかし先ほど開催された漢気じゃんけんの末に負けた田ノ上さんはそれを不服とし、大人気なく「寂しい！」と駄々をこねたのだ。
まあそれは、ある程度全員が予想していたことだったけど。
田ノ上さんが…というよりも、誰が車を返すことになってもどのみち「みんなで行こう」と言い出すだろうと。
漢気じゃんけんなんて茶番でしかない。
メンバーに負けないくらいマネージャー同士も仲が良いので、結局は全員で事務所へ行く事になった。
「Aちゃんも来てくれる？」
気を使ってくれた聞いてくれた田ノ上さんに、私は大きく頷いて親指を立てる。
なんだかんだ、私も彼らのことが大好きなのだ。
だから休暇とはいえ、この人たちやメンバーにしばらく会えないと思うと、普通に寂しい。
送迎車は７人乗りのアルファード。
独立タイプのシートの二列目、運転席側の席を確保して荷物を床に置くと、その隣に外村さんが座った。
「姉さんは帰省せずにこっちに残るんですよね？」
聞かれ、そうだよ、と頷いた。
「この休暇中に免許が取れれば、仕事初めから徐々に動けるようになるから」
「そっか、頑張ってくださいね！」
「頑張ります！」
そう。
私は免許取得という正当な理由で十日までの長期休みをもらっているので、その間に絶対に免許を取得しなければいけないのだ。
年末の多忙な時期にどうにか卒業検定まではクリアし、あとは本学科試験と適性検査を受けるところまで漕ぎ着けた。
試験勉強も含め、取るならここしかないと思っていたタイミングで田ノ上さんに進捗の報告をしたら「それなら年末分の休みもそこにくっつけとくよ」と快くスケジュールを工面してもらえたのは大変ありがたい。
「はい、じゃあそろそろ出すよー」
シートベルトを装着した田ノ上さんが後方を振り返る。
何か企むような含み笑いをする彼に、私と外村さんは顔を見合わせた。
「さて、このまま会社に向かうわけですが……その前になんか食べにいく？」
提案に、車内からはわっと歓声が上がった。
ほぼ丸一日仕事をしていた状態でハイになっているのか、普段のしごでき集団とは思えない学生のような盛り上がりである。
「ラーメン」「焼肉」と飛び交うなか、車が動き出す。
ちなみに、ほぼ同時に会場を出発したストさんの送迎車も、道路に出るなり会社とは真逆の方向に曲がっていった。
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泥濘(プロフ) - ちいさいばあばあさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありません。話の展開がゆっくりですが、引き続き今後の展開を見守っていただければ幸いです。 (2月25日 22時) (
レス) id: 014ca7ae0d (このIDを非表示/違反報告)
ちいさいばあばあ(プロフ) - あべちゃんとマネちゃんが付き合う事になるといいですね。 (2月14日 17時) (レス) id: b4b34b6799 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泥濘 | 作成日時：2024年1月25日 0時
