▼渡辺END ページ40
.
「A、こっちに来い。そんな顔させるようなやつといても幸せになれるわけない！」
必死で私の手を引きながら、叫ぶ翔太。
Aと結婚したくて....
全部、Aとの将来の為だった。
全ては、私の勘違いから始まったこと。
私がちゃんと、翔太と向き合っていたら、
もう少し彼を信じてあげられていたら、
彼が憂き身をやつすことはなかったのだろう。
彼の手を握ることが出来たら、
もう一度彼とやり直すことが出来たら、
私は元に戻れるの？
私は渾身の力を込めて、拘束されていた腕から抜け出して翔太の元へ駆け寄った。
すぐさま私を自分の背中に隠すようにして、亮平くんと距離を置く。
「A、何してるの？」
洗脳されかけていた頭が急にクリアになった時、彼の貼り付けたような笑顔にとてつもない恐怖を感じた。
「僕を裏切るなんて許さないって言ったよね」
恐怖で体が固まる私の手をぎゅっと握り締めてくれた翔太は、毅然とした態度で彼に立ち向かった。
「もう、結果見えてますよね」
「....どういう意味ですか？」
「Aがあなたの元から飛び出したってことは、これから俺と生きることを選択したってことです」
「....だから、何だって言うんですか、」
亮平くんは次第に呼吸が浅くなっていき、パニックを起こし始めた。
「僕が、！Aが幸せに生きる為に守らなくちゃいけないんだ！お前が！お前さえいなければ僕が、！」
大声を上げていた彼は警備員に取り押さえられ、私たちの前から姿を消した。
恐怖で膝の抜けた私は、翔太に支えられるようにして抱き締められた。
久しぶりのこの匂い。
薄くなった体。
やっぱりちょっとだけ痩せちゃったんだね。
もっと薄くなってしまった胸に体を預けると、彼はキツく抱き締めた。
「何やってんだよ....」
彼は私の存在を確かめるように髪に顔を擦り寄せる。
「ごめん、」
「まじで心配したんだから、」
「....うん、」
ゆっくりと体を離し、大好きな優しい瞳で私をジッと見つめる。
なんだか、とても懐かしい気がする。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cleam(プロフ) - ゆんりかさん» お返事が遅くなり申し訳ないです....！ありがとうございます（ ; ; ）ちょっと怖いお話（？）だったのでそう言っていただけて嬉しいです（ ; ; ） (2021年5月4日 19時) (
レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんりか(プロフ) - コメント失礼します 読んでいるうちにどんどん引き込まれました♪ 最高です (2021年5月1日 14時) (レス) id: d4900d386d (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - menoさん» コメントありがとうございます！担当様でしたか( °o°)内容が強すぎたら申し訳ないです....いつかあべくんには狂ったキャラを、と思っていたのでそこを楽しんでもらえたなら幸いです。いつか役回りでサイコパスなあべくんも見てみたいですね＾＾ (2021年2月15日 23時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
meno(プロフ) - 軽い気持ちで読んでたら、え、？とかは、？とかもう内容に引っ張られちゃって、もうとにかく凄いなって思いました!!!フィクションだからこそ自担の妄想黒場面がみられたのが幸せでした(あ、阿部ちゃん…あなたそんな…え…とちょっと放心状態になったのは内緒) (2021年2月15日 10時) (レス) id: a41f81c6b1 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - Asahiさん» お返事遅くなりまして申し訳ありません！一応こちらはあべくんのお話なのでこのエンドが正規ルートです。ですがもしわたなべくんオチを、とのことでしたら書かせていただきます＾＾ただちょっと時間が掛かってしまうかもしれないので、それでも良ければなんですけど.... (2021年2月15日 0時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cleam
| 作成日時：2021年1月26日 21時
