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You side.
彼の言うとおり、今月いっぱいで仕事を辞めた。
会社の人には白い目で見られたけど、私には彼がいるから平気。
私は首元に刻まれた彼のシルシに触れながら、むしろ清々しい気持ちを抱いた。
亮「ようやく一緒に住めるね。」
引っ越したばかりの部屋を解約して、彼と一緒に住むようになった。
違約金はかかったけれど、彼と一緒にいられる喜びの方が強かったからなんでもよかった。
亮「基本的にはなんでも使っていいし自由にしてくれていいんだけど一つだけ。」
そう言って彼は人差し指を立て、ある部屋の前に立った。
亮「この部屋には絶対に入らないで。僕の大切な部屋だから。」
「うん、?分かった。」
全てを共有したいはずの彼が、この一室だけは入らないでの一点張りで、少しだけ不思議に感じた。
でも、それほど深く考えることもなかった。
彼からの愛情は、十分すぎるほどに貰っていたから。
亮「A。今から本屋さんに行ってくるんだけどAはどうする?」
「あれ煮込んでる最中だからお留守番してるよ。」
私は夕飯に、と準備していた鍋を指差した。
亮「そっか、わかった。じゃあすぐに戻ってくるから、良い子にしててね。」
チュッと音を立てて唇を重ねた彼は、少し名残惜しそうにして玄関の扉を開ける。
「いってらっしゃい。」
亮「行ってきます。」
そんな小さなやりとりも、愛おしそうに微笑む彼の笑顔も、まだ慣れていなくて少しだけむず痒い。
それすらも幸せとなって積み重なっていった。
彼が出た後は、鍋の様子を見たり、テレビを見たり、のんびりと過ごした。
いつもと変わらない、ただの日常.....
バサバサバサッ
1人になって15分くらい経った頃、この部屋には絶対に入らないで。と言っていた部屋から何かが落ちるような物音が聞こえた。
何か、落ちたのかな、
気になった私は、ドアノブに手を掛けた。
何か大切なものが壊れてしまっていたら、という不安が頭を過ぎり、心の中でごめんなさい、と唱えて部屋の中に入った。
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cleam(プロフ) - ゆんりかさん» お返事が遅くなり申し訳ないです....!ありがとうございます( ; ; )ちょっと怖いお話(?)だったのでそう言っていただけて嬉しいです( ; ; ) (2021年5月4日 19時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんりか(プロフ) - コメント失礼します 読んでいるうちにどんどん引き込まれました♪ 最高です (2021年5月1日 14時) (レス) id: d4900d386d (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - menoさん» コメントありがとうございます!担当様でしたか( °o°)内容が強すぎたら申し訳ないです....いつかあべくんには狂ったキャラを、と思っていたのでそこを楽しんでもらえたなら幸いです。いつか役回りでサイコパスなあべくんも見てみたいですね^^ (2021年2月15日 23時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
meno(プロフ) - 軽い気持ちで読んでたら、え、?とかは、?とかもう内容に引っ張られちゃって、もうとにかく凄いなって思いました!!!フィクションだからこそ自担の妄想黒場面がみられたのが幸せでした(あ、阿部ちゃん…あなたそんな…え…とちょっと放心状態になったのは内緒) (2021年2月15日 10時) (レス) id: a41f81c6b1 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - Asahiさん» お返事遅くなりまして申し訳ありません!一応こちらはあべくんのお話なのでこのエンドが正規ルートです。ですがもしわたなべくんオチを、とのことでしたら書かせていただきます^^ただちょっと時間が掛かってしまうかもしれないので、それでも良ければなんですけど.... (2021年2月15日 0時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cleam | 作成日時:2021年1月26日 21時