それは突然に

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あの日から1ヶ月くらいが経とうとしていた。

今でも時々あの日のことを思い出す時がある。



自分でもびっくりするほど彼との会話を楽しんでいた自分がいた。あの日感じた寂しさなんて吹き飛ぶくらい楽しいひと時だった。



(なんで連絡先聞かなかったんだろ)



仕事が終わり、スマホを確認すると1ヶ月ほど前に
職場を退社したあかりちゃんから電話がきていた。
折り返しかけてみると



「もしもし、Aさんお久しぶりです！元気にしてましたか？」


『あかりちゃん、久しぶり。元気よ。それに、まだ1ヶ月しか経ってないんだしそんなに変わらないわよ(笑) で、なにかあったの？』


「Aさん！野球見に行きましょうよ！ファイターズの！旦那がチケット用意してくれたんです！しかもすごくいい席みたいですよ。どうですか？』



ファイターズと聞いて一番に頭に浮かんだのは
"卓"の存在だった。もしかしたら会えるかも…なんてくだらない淡い期待が胸を膨らませた。


(会えるわけないじゃない)


そう自分に言い聞かせて、心を落ち着かせた。


どうしてこんなにも
卓のことが頭から離れないんだろうか。


「…おーい！Aさん聞いてます？」


『あ、ごめん。ちょっとぼーっとしてた』


「もう！しっかりしてくださいよ！で、もちろん行きますよね？(笑)」


『うん…。行ってみようかな？』


「さすがAさん！じゃあ来週の土曜日予定あけといてくださいね！」


『わかった。楽しみにしてるね』


そう告げ、電話を切った。


(来週卓の姿を見れるんだ)


期待と高揚感でその日は少し眠れなかった。

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