殺人鬼とナイフ使いの女の子 (ページ9)

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同じくガラス棚に入ってる薬品が綺麗に揃えられていて、中には毒薬になるような物もあった。

次は隣の棚を開ける。

こちらにもカルテのようなものが入っていて、出しては次のカルテを手に取り捲る。

A『…やっぱり無いよな…しょうがない、出るか』

診察室から出たらさっきまでソファーに座っていたザックが居ない。

A『あり？居ないし…』

更に奥に進んで行き、右に曲がる。

右側には部屋が２部屋あって、廊下の先にはガラスの壁があった。

壁越しにはまだ奥が続いている。

まずは手前の部屋に入る。

中は左右の壁側にベッドが2台ずつ寄せられて、点滴も一つずつある。

ベッドは綺麗に整えられているがホコリっぽい。

なんとなく窓を見た。

光は差していない。覗いてみても、外への奥行はなく、何も見えなかった。

そして窓には、人が爪で思い切り引っ掻いたような傷が、いくつも残っていた。

A『……………。』

左側の奥のベッドの所、壁にまた文字のようなものが書かれている。

──…けて助……… …い怖…

──三人………のにこ…にいる………私…け

──…しにくる殺……… …………うち、 …だけが………れる

ホコリがかぶってよく見えないが予想はついていた。

A『…………。』

大量のほこりを払うと、壁には狂ったような悲痛な文章が、赤い文字で書かれていた。

──助けて怖い怖い

──三人いたのにここにいるのは私だけ

──殺しにくる殺しにくる三人のうち、私だけが殺される

──まるで、それが当然のようにここの奴らは私を殺しにくる

──あいつらを解放したのは誰？

──助けて助けて神様

A『恐怖…そういえば…あの人に殺されかけた時は…全然怖くなかったな、何でだろ？』

あの人というのは誰か思い出そうとすればするほど、その人の顔が靄に包まれていく。

思い出すのはやめて、静かにその場から離れて部屋から出ていく。

廊下に出るとすぐ隣の部屋に行く。

扉を開けて再びなかに入る。

その部屋には、真っ白なスチールベッドが一つだけ、高い柵に囲われるような形で置かれていた。

ベッドは綺麗に整えられているけど、なんだか血なまぐさいような臭いを放っている。

ベッド脇に配置されている点滴には、まだ何らかの液体が残っていた。