殺人鬼とナイフ使いの女の子 (ページ8)

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ザックが居たB6フロアとは、正反対に清潔な所で目が醒めた場所を思わせるような場所だった。

でも目が醒めた時のフロアとは若干、雰囲気が違う。

あのフロアからは生気の様なのは微塵も感じられなかった。

でもここには、誰かがついさっきまで働いていたような生々しさが漂っている。

なぜなら床を見ても、塵一つないくらいピカピカに磨かれていて、それは明らかに誰かが掃除をした後のようだったからだ。

A『あー此処は意外としっかりしてるね！下の階よりは…』

ザックは不機嫌になってAを軽く睨む。

ザック「うるせぇよ…あと気をつけろよ？此処はダニーって言う変態野郎がいるからな…」

A『変態野郎？何それ？』

ザック「目玉を集めるのが好きな医者だ」

A『なるほど、オキュロフィリアの医者かぁ…いいセンスしてますな』

ザック｢オキュロフィリア？｣

A『目玉が大好きな奴の事を言うんだよ』

ザック｢マジかよ…うぇ…｣

ザックは立ち止まり、Aを見てドン引きする。

しかし電気がついてないせいで、とても暗い。

唯一、受付と思わしき場所に置かれている大きなコンピューターだけが、青白い光を放っている。

その青白い光を見て、Aは受付のなかに入っていった。

受付の奥に置かれている背の高いガラス棚には何かの薬の瓶が不気味なくらい整頓されて並べられている。

それらはまるでディスプレイされているかのように、小さな電球に照らされてキラキラと光っていた。

光を放つコンピューターの画面には、リアルな眼球の画像がスライドショーみたいに次々と表示されている。

A『わぁ…』

コンピューターの傍らに立てかけられている小さなアナログ時計は、昼なのか夜なの分からないけど、8時辺りで止まっていた。

A『何で止まってるんだ…まぁいいか』

けどこのビルに関するものも必要なものも見つからず、引き出しに入っていたのは、どれもカルテと呼ばれるものだった。

それを見ていたザックが喋りだす。

ザック「おい」

A『何？』

ザック「さっきから何してんだ」

A『ワイヤーを探してんの』

ザック「は？ワイヤーなんかある訳ねーだろ」

真っ白なソファーにドスッと座る。

A『えー…困ったな…』

ザック「何でだよ」

A『いやぁ…ちょっとね…この部屋入るか…』

診察室と書かれた扉を開けて入る。