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境内に足を踏み入れた。
神社を囲うように生えている木々が風によってざわざわと騒いでいる。薄暗く、夜に切り替わる直前の逢魔時。そういえば逢魔時は魔物に遭遇する時間帯などと言われていたか。魔物が気に入った人間を攫ってあの世に連れていくと。本当だと云うのなら私を攫って連れて行って欲しい。こんな現実に未練なんて微塵もない。
「ホンマに連れ去らってええの？」
また、声が聞こえた。違う、今回は姿もハッキリと視界に映っている。私の目の前で桜色の瞳を揺らしながら口角を上げ、妖しげな微笑みを向けてくる男。“天”と書かれた布面を斜めに掛けていて、人に見えるのに人間ではないオーラを感じた。
神様………否、さっき思い浮かべていた魔物なのか。
『……ま、もの？』
つい、声に出してしまっていた。
私の頭を埋め尽くしたのは恐怖でも驚きでもなく純粋な期待だった。この世から消し去ってくれるのではないかという期待。
「…んふ、驚かへんのは逆に吃驚やな。
魔物…まぁ一般的に言うたらそうなるかもしれんな」
彼は予想していた私の反応と違ったのか、小さく笑い声を漏らす。そして自身を魔物だと認めた。
「さっきから消えたいとか攫って欲しいとか言うてるけど、なんや。悩み事でも抱えてるん？あんさんの雰囲気、暗くてしゃーないんやけど」
『……今の私に希望なんてない。だから、連れて行って欲しいの』
「……行き先、分かって言うてるん？」
.
終わり
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もちもち太る♪(プロフ) - おもっっっしろかったです!!ヤンデレの狂気性とかが忠実にそれでいてどこかふわっと表現されていて読みながらニヤニヤしてしまいました💦神作品をありがとうございました!! (1月10日 2時) (
レス) @page16 id: 511e4bb1f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恋雨氏
| 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/R9uf2SJKvFrqI87
作成日時：2023年12月11日 1時
