【d！/短編集】夜が、明けるまで【合作】 (ページ23)

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ある日のことだった。

「A先輩。着いてきてくれません？」

「⋯え⋯⋯⋯⋯っ！」

それは突然で。
長年外に出ていない私の体は、勿論それを嫌がった。

でも、彼と一緒なら。
一瞬だけそう思ってしまえば、私からはすでに言葉が出ていた。

「わかった。」

勇気を出して外に出てみる。
夜の肌寒さで少し震えたが、すぐに慣れた。

ちょっとずつ歩けば私の家の駐車場に紫色のバイクがあった。

いつもショッピが使っているバイクだ。

「え、これ⋯⋯乗るの？」

「？そうっすけど⋯⋯あ、怖いっすか？」

「あ、いや大丈夫！」

本当は怖くて仕方なかったが、反射的にそう答えてしまう。
するとショッピは紫色のヘルメットを渡してきた。

カチャッと頭につけると、少し大きい気がする。
ショッピも着用すると、ふと彼がこちらを振り向いた。

「落ちても知らないっすよ？」

はっとして急いで彼の腰に腕を回すと、エンジン音がしてバイクが走り出した。

「はやっ！？」

意外とバイクのスピードは速く、びっくりして強く抱き着いてしまう。

いつもならうるさく感じるエンジンの音が、今はうるさくてよかったと思う。

__そうでなければ、私のこの胸の鼓動が丸聞こえだ。

「先輩。着きましたよ？」

しばらく目をつぶっていると、もう着いたらしくバイクが停止する。

うっすらと目を開けると、そこには視界いっぱいのショッピの顔が。

「あばっ！？」

「いやちょ、せんぱっ！？何してんすか⋯⋯！」

びっくりして体勢を崩してしまったのか、体がバイクの下へと落ちる。

私の背はぽすっと芝生の上に落ちる。
起き上がるのが面倒くさくなって仰向けになれば、そこにはキラキラとした星空が。

「⋯⋯わぁ」

黄色、赤、青、緑。
いろんな色で彩られた、綺麗な星空。

「綺麗っすね。」

「綺麗だねっ！」

私は力強く頷いた。
すると、横からふふっ、と笑い声が聞こえる。

「元気、出たみたいですね。よかったっす。」

「え？⋯⋯あ。ほんとだ。」

私は昔から、星が大好きだった。
そして、月も大好きだった。

静かな空に輝く、華やかな星。
その光は、太陽の光とは違う光で。

「私、やっぱり夜が好きだなぁ」

「⋯⋯俺もっす。」

ショッピは、そうどこか悲しげに、困ったように笑った。