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袋の中にあったのは、真っ黄色の小さな花。これは、たんぽぽか。彼女らしい、可愛い花だ。
「ありがとうA。枯らさないように、毎日愛情を注ごう」
「⋯⋯ごめんね、そんなのしかあげられなくて」
泣き出しそうなA。俺は彼女の手を掴んで引き寄せて、薄ピンク色の唇にキスをする。驚くAはギュッと俺の軍服を握る。
「いきなり⋯⋯恥ずかしいよ」
「ええか？A。俺はお前から貰ったものならなんでも嬉しい。雑草でもだ。それに、たんぽぽって英語でなんて言うか知っとるか？」
「なぁに？」
「Dandelion.ライオンだ。獅子だぞ？」
「カッコイイ⋯⋯!!!!グルにピッタリだ！」
機嫌を治したAはニコニコ笑う。窓際の棚にAからの愛の籠ったプレゼントを置き、早速水を与える。
「人にあげるものだから、ちゃんと花言葉も調べたよ。⋯⋯エミさんに聞いただけだけど」
「教えてくれ」
「教えない！恥ずかしいもん」
「なんやそれ。っふ、まぁええわ。自分で調べる」
「じゃあね、グル。仕事戻るよ。たんぽぽ、気に入ってくれてありがとう」
「こちらこそ、素敵なプレゼントありがとう。今夜、部屋で待っている」
また顔を赤くしたAを見えなくなるまで見つめる。ふと窓に反射した俺の顔を見て、驚く。俺はこんなにも優しい顔ができたんやな。きっとAに対してだけなんやろな。
それからしばらくして、仕事のために一般兵が総統室にやって来た。適当に話を聞いていると、奴は目敏く俺の宝物を見つけたらしい。
「総統閣下⋯⋯失礼ですが、総統室にたんぽぽは合いませんよ。もっと品のある花を飾った方がよろしいかとっ!?」
俺は何も考えられなくなっていた。
今何をしたのか自分でも分からない。ただ、一般兵の喉元に鋭い万年筆を突きつけて、射殺さんばかりの殺気の籠った視線を向けているというのは理解した。
「すまない。だが、あの花を侮辱することは許さん。二度と触れるな。そして視界に入れるな。不快だ」
「っ!!!失礼しました！」
そそくさと居なくなった一般兵を見て、俺はパソコンでたんぽぽの花言葉を調べる。出てきた検索結果に、俺は顔の温度が上がっていくのを感じた。
『愛の信託』『真心の愛』『幸せ』
「あー、もう！気ぃ狂うわ」
好きで好きで仕方が無い。あの純粋さを汚したい。俺のものにして、俺以外に見せたくない。だが、それはきっと彼女が悲しむから、しないでおこう。
まだ、な。
たんぽぽの花言葉。『別離』
fin
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さくらんぼ双子(プロフ) - ルカさん» 分かります⋯!!神作者様だとやっぱり被っても発想が凄いんですよね⋯!! (2022年10月4日 15時) (
レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 薔薇、すごい被ったのに内容が全然違うの凄い､､！！ (2022年9月21日 23時) (レス) @page30 id: 4cbe8909de (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 闇の塩分さん» 闇の塩分様ありがとうございます！面白かったです。ヤンデレtn氏もいいですね⋯ (2022年8月16日 2時) (レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ双子(プロフ) - 若草 翠さん» いえ、そんなことないですよ！読みましたが面白かったです！そしてありがとうございます！ (2022年8月16日 2時) (レス) id: b167e19be9 (このIDを非表示/違反報告)
闇の塩分(プロフ) - 書き終わりました (2022年8月15日 23時) (レス) id: 629d679cbe (このIDを非表示/違反報告)
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