奇跡の出逢い (ページ1)

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＊プロローグ＊ページ1

～時は平安、満月が静かに見下ろしている中、とある小さな村が火の海化とし、家々は崩壊し、木々はなぎ倒され、人々が逃げ惑っていた、その事件を起こした者の正体は、我を忘れ怒りに支配された巨大な蜘蛛の化物である～

ゴォォォオ

村人A
｢なんて事だ。俺達の村が･･･。｣

村人B
｢こんなんじゃ、何もかもおしめぇだ･･･。｣

僅かに生き残った村人が少し離れた場所で、昼間のように明るく灰化としていく村を、ただ呆然と眺めていた。

ちとせ
｢･･･土、蜘蛛。｣

グイッ

ちとせ
｢！？｣

左腕を強く握られたため身動きが取れなくなる。振り返るとそこにいたのは･･･

？？？
｢何処に行くのつもりだ？｣

近いうちに私を伴侶として向かい入れる幼馴染みの琥珀だった。

ちとせ
｢･･･全部、私が悪いの。｣

琥珀
｢まさかお前、あの蜘蛛の化物と何か関係が･･･？｣

視線を逸らし黙ったままゆっくりと頷いた。これ以上、皆に迷惑をかけたくない。一刻も早く村へ戻り何とかしなければ･･･彼は殺されてしまう。父様、母様･･･こんなわがままな娘でごめんなさい。

ちとせ
｢だからお願い、その手を離して。｣

すると、握られていた手の力がより一層強くなるのを感じた。

琥珀
｢馬鹿言うな！！･･･俺も一緒に行く！｣

ちとせ
｢えっ･･･？｣

衝撃的な一言に目を見開く。次の瞬間、左腕を引かれ抱き締められる。表情を伺う事は出来ないけど、身体が震えているのが分かった。

琥珀
｢ちとせ、お前の事をよく知っているのは紛れもなくこの俺だ。だから、その･･･力になりたい！｣

ちとせ
｢琥珀･･･。｣

琥珀
｢己の命がどうなろうと構わない。お前が望むなら、何とかして目を覚まさせよう！･･･人間の俺達の力だけでどこまで通用するか分からないけどな。｣

ちとせ
｢･･･うん！｣

私は琥珀と共に燃え盛る村、そして･･･今も尚、怒り狂う土蜘蛛の元へと向かった。