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厨房から出てきたパスタとサラダを載ったお膳に、今日のスープを載せ、少しお肉が少ないけど、まあいいか、と思いながらテーブルにそれを運んだ。
「お待たせしました」
坂田くんは「ありがと」と小さく言って、大人しく夕飯を食べはじめた。
夜のピークのあとは閉店に向かって人が減っていく一方なので、ウェイトレスは私以外に2人しかいない。
片方の女の子は、空になった喫煙席の掃除をしていた。
この時間に来店する客は、ほとんどが常連客で、ほとんどは急いで夕食をすませては、寝るためにすぐ家に帰っていく。
私はテーブルをまわって、ペーパーナプキンやコーヒーミルクを補充しながら、様子をうかがっていた。
食べ終わった様子の坂田くんに、
「お下げしてよろしいですか？」
とたずねると、こちらに顔を向けて頷いた。
「美味しかった。Aちゃんに敬語で話されるんは、ちょっと変な感じやけど」
恥ずかしそうにはにかむ坂田くんに、私は笑いをこらえながら、
「食後のコーヒー、ただいまお持ちします」
と言って膳をさげた。
コーヒーを飲み終えると、坂田くんは
「また来るね」
と言い残して出ていった。
それから坂田くんは月曜の夜、夕食を食べに来るようになった。
来てくれて嬉しかったが、坂田くんが来ると常連のお客さんも注目するので、私語を交わすわけにもいかなかった。
コーヒーのおかわりをつぎながら、「はい」「はい」「かしこまりました」と店員らしく相槌をうつのが精一杯だった。
「今日、テストでさ。ちゃんと赤点は免れた」
「はい」
「昨日は、先輩に2時まで連れ回されてん。もうめっちゃ眠い」
「そうですか」
「Aちゃん、コーヒー、もう一杯ちょうだい」
「かしこまりました」
高校の頃に交換したメッセージアプリから、坂田くんの連絡はない。
私たちが話すのは、毎週月曜の夜だけだ。
しばらくコーヒーを飲んだあと、閉店の30分前になると、「じゃあ」と立ち上がって帰っていく。
連絡してみてもいいのかな。と悩みつつ、いつもの細長い後ろ姿を見送った。
後ろ姿を見ながら、彼と再会してから太陽みたいな笑顔をまだ見ていないことにふと気がついた。
その代わりに、大人っぽく微笑むことが多くなったような気がする。
彼の変化に、私は心の中で戸惑いながら、業務に戻った。
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りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます！またコメントをいただけて嬉しいです！続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします！ (2019年12月24日 11時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは！グッドイブニング･トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します！浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね！元々惚れてますけど余計に惚れますね！応援してます！更新頑張ってください！ (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます！どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月13日 23時
