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私の最寄り駅に着いた時には、23時をまわっていた。
「一人暮らし、しとるんや」
「うん。大学がちょっと遠いから」
大通りを1本入った夜道をゆっくりと歩く。
こんな風に坂田くんのとなりを歩く日がまた来るなんて思いもしなかった。
「大学、D大やったっけ？」
「うん、そう。坂田くんは、C大だよね」
「そ。看護学部。俺も大学入ってから一人暮らししとる」
「そうだと思った」
カップ麺でご飯済ませちゃおうなんて、一人暮らしじゃなきゃできない発想だ。
「だって朝起きるのしんどいしさあ。気づくとギリギリになってる」
高校のときはちゃんと起きれたのになあ、と坂田くんは笑いながらいう。
「俺の最寄り駅、ここから3つ先だから、結構近いで」
「そうなんだ」
じゃあ、たまには一緒にご飯くらい行けるかな。と言いたかったが、久しぶりに1回会っただけなのに、なんだか図々しすぎる気がして、そうは言えなかった。
結局、坂田くんは私からなにも情報を聞き出すことはなく、私をアパートの前まで送り届けたあと、立ち去っていった。
坂田くんにとって、私は高校時代仲が良かった、その時に好きだった、過去の女の子なんだな、と思った。
卒業式のあと、1度も連絡を取らなかったのだから、当たり前かもしれない。
だけど、その事実が、遠ざかっていく坂田くんの背中が、少しだけ切なかった。
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私は事務所でご飯を食べていた。
坂田くんのことを思い出し、彼は来てくれるのだろうかと思って、思わず小さく笑ってしまった。
「なに1人でにやにやしてんの」
一緒に休憩に入ったうらたさんがミートソースのスパゲティを巻きながらこちらを見て笑った。
「あ、すみません。ちょっと思い出しちゃって。こないだ、高校の頃の同級生に久しぶりに会ったんですけど、すごく変わったような、全然変わってないような感じで、なんかおかしくって」
「ああ、分かるかも。大学に入ってから髭生やしたり、ばっちり化粧したりしてても、昔の面影があって変な感じなんだよね」
「そうなんですよね。いや、自分もそうなんでしょうけど」
「まあ、俺は大学入ってからのAしか知らないから分かんないけど。なに、なんか言われたの？」
「いえ、なにも……」
「じゃあ、別にいいんじゃねえの？」
変わろうが、どうなろうが、お前はお前なんだし。
うらたさんは興味を失ったようにパスタの最後のひとくちを食べた。
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りひと(プロフ) - たまさん» たま様/コメントありがとうございます！またコメントをいただけて嬉しいです！続編のほうも、引き続きよろしくお願いいたします！ (2019年12月24日 11時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
たま(プロフ) - こんにちは！グッドイブニング･トウキョウから引き続きずっと読んでいます。坂田さんsideも入れて頂きありがとうございました。これからの逆襲編も楽しみですし、また坂田さんとくっつくのも楽しみにしております。これからも応援しております。 (2019年12月24日 11時) (レス) id: a928baf79e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - shioriさん» shiori様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後も楽しんで読んでいただけるよう努めて参りますので、応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月22日 3時) (レス) id: 643f7a330d (このIDを非表示/違反報告)
shiori(プロフ) - 初コメ失礼します！浦田さんのキャラめちゃくちゃいいですね！元々惚れてますけど余計に惚れますね！応援してます！更新頑張ってください！ (2019年12月22日 1時) (レス) id: f06d85eb8e (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ゆずの実さん» ゆずの実様/コメントありがとうございます！どんどん更新して参りますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！ (2019年12月21日 13時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月13日 23時
