グットイブニング・トウキョウ【あほの坂田】 (ページ6)

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「……………やってしまった」

自室のベットに倒れ込んで、私は明日からの学校生活に不安を抱いた。

坂田くんと一緒に帰るのは、もちろん楽しかった。

話すのは上手いし、なにより人懐こい笑みがかわいらしい。

坂田くんは高校は部活に入らず、私と同じように帰宅部らしい。

いままで朝会わなかったのは、バスの時間が違ったかららしい。

そういえば、いつも遅刻ギリギリで登校していたな、と思い出す。

「俺いつもギリギリまで寝てるから朝のバス違うのかもなぁ。明日からはがんばって早起きするわ！」

へへへ、と照れたように彼は笑った。

そこまではいいのだ。

問題は、彼と一緒登校して、周りになんと言われるかということだった。

クラスで「上」の坂田くんと「下」の私。

特に、早坂さんたちのグループはいい気持ちはしないだろう。

高校生、という時期は複雑だと思う。

大人になりたくて仕方ない時期で、でも子供からも抜け出せなくて。

ちょっと一緒に登校しただけで付き合ってる云々、そういう誤解をうんでしまうのははばかられた。

坂田くんと一緒に登校しない、いまのままが1番平和だとは思う。

でもそれをしなかったのは、私の性格と、それからあの憎めない笑顔のせいだ。と私は頭の隅で思った。

「ああ、明日からどうしよう」

考えても仕方のないことと分かっていても、考えずにはいられない。

スマホの通知音がなって、私は右手で握りしめていたスマホに目をやった。

坂田くんからだった。

いつものバスって何時発のやつ？

彼は本当に早起きして私の乗るバスに合わせようとしているらしい。

たかだか話し相手のためにそれをしてしまうのが彼のいい所なのかもしれない。

「………あ」

ふと、明日は英語の小テストがあることを思い出した。

あの先生に捕まるとやっかいだ。
不合格者はその日の放課後、補講に出なければならない。

「宿題しよっと」

7時50分、とだけ返信して私はスマホをとじた。