. ページ32
いつもよりもずっと早く目が覚めた。
今日は目覚ましよりも何時間も前に目を覚まし、真っ暗な部屋の中で天井をずっと見つめていた。
ついに来てしまった。
どうしようもないのに私は布団の中から動けずにいる。
ジリリリリリリリリリ
ようやくアラームがなって、私はもぞもぞと動きだす。
ああ、そういえば着ていく服も決まっていなかった。
それを思い出して、急速に脳が覚醒していくのがわかった。
「………やばい!」
目覚まし時計に飛びついて時間を確認する。
平日と変わらない時間になっていたため、集合時間まではずいぶんと時間があった。
よかった、と胸をなでおろすも、服も決まっていなければ持っていくものの準備もしていない。
急がなければならないのは避けられない事実だった。
「あら、今日はずいぶん早いのね」
階段をおりてキッチンに行くと、お母さんが朝ごはんを準備していた。
「うん。友達と遊びに行くから」
「そう。楽しんでらっしゃいね」
ほうれん草をゆでるお母さんのとなりで、パンをトースターにセットして、コーヒーをマグカップ半分まで入れる。
そのあと牛乳で残りの半分を埋めて、程よいあたたかさのカフェオレの完成だ。
ソファに体育座りをして座り、天気予報を見る。
今日は１日中晴れの予報だった。
いっそ大雨になってくれれば早く帰って来れるのになあと思いながらコーヒーをすする。
トースターがなって、こんがり焼けたトーストが顔を出した。
私はそこにバターナイフで薄くバターをぬって、その上からマーマレードジャムを乗せた。
ほろ苦い皮の部分がなんともくせになる味だ。
トーストにかじりつきながら、私はスマホで電車の時間をチェックした。
早めに出れば気にすることもないのだが、今日はちょっと余裕がないので、一応の保険だ。
ニュースと電車をチェックしたあと、残りのパンを詰め込んで、カフェオレで流し込む。
「ご馳走様でした」
「遅れないように出かけるのよ」
「分かってるってば」
私は足早に階段を駆け上がり、自室に戻る。
さて、ここからが問題だ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 206人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 17時
