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「坂田くんの好きなタイプって、どんな子なの？」
帰りのバスの中、私は思い切って坂田くんに聞いた。
聞かないと、明日の我が身が危ない。
残りの学生生活と羞恥心とを天秤にかけた結果、前者が勝ったのだ。
「へ？どうしたん、急に」
坂田くんはきょとん、としたあと、可笑しそうに笑いだした。
「と、特に意味はないんだけど……ほ、ほら、坂田くんモテるし、どんな子がタイプなのかなって、気になってみただけ!」
ごめんね、変だよね。と言って私も笑ってみせた。
このまま「変なの〜」と笑って見逃してくれれば良かったのに、坂田くんはそうはしなかった。
「俺な、好きな子おるんよ。だから、タイプはその子かな〜」
「え、そうなの？」
「そうそう。いま絶賛アタック中なんやけど、ぜんぜん分かってもらえてないっぽくてさ〜」
坂田くんはちょっと寂しそうに、そして照れくさそうに笑った。
「そうなんだ。どんな子なの？」
彼に思われてる子は幸せだな、と私は思った。
こんなに優しくて、素敵な人に好きになってもらえる子は、いったいどんな子なんだろう。
きっと、坂田くんと同じように、明るくて、優しくて、それから、とびきりかわいい子に違いない。
「せやなあ。控えめで、優しい子。そんでもって、笑顔がかわいい」
彼は愛おしげに私を見つめてそう言った。
きっと、彼の目には私じゃなくて、その子がうつっているのだろう。
彼の目は優しく細められている。
「そうなんだあ。坂田くんなら大丈夫だよ!きっとわかってもらえるよ！私、応援する!」
私がそういうと、坂田くんはまたきょとんとした。
それからまた、ちょっとだけ寂しそうに、照れくさそうに笑って、
「ありがとう」
と言ったのだった。
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 17時
