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時間はすっかり夕飯時で、私たちは軽く食べたあと、ショーを見てから帰ることにした。
色とりどりのLEDで装飾されたきらびやかなトロッコが前を通り過ぎていく。
キラキラ輝くトロッコの上から、キャラクタたちが手を振りながら、パフォーマンスをしていた。
大音量で音楽が流れる中、あちこちから自分の方に振り向いて欲しくて、キャラクターの名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
まるで、夢の世界みたいだ。
トロッコの最後の1台が通り過ぎる。
夢からさめたように、ほう、と息をつく。
「さて、じゃあ、そろそろ帰るかぁ」
坂田くんが言う。
「せやなあ」
センラくんがそれに続き、入口に向かって歩き始める。
「あ!坂田くん、私あれ見たい!」
そう言って、今度は早坂さんが坂田くんの手を引っ張ってどこかへ行ってしまう。
パレードが終わったばかりでこのあたりは帰りの客で混雑していて、早坂さんたちをあっという間に見失ってしまった。
「ちょっと、待てって！」
「だめ!!」
私は、慌てて後を追おうとしたセンラくんの手を掴み、咄嗟にとめた。
きっと、早坂さんはこれから坂田くんに告白するのだ。
そう、気づいたから。
「邪魔しないでよね」そう言った早坂さんの声が頭に響く。
「いまは、行かないほうがいいと思う」
「は？なんで？」
「それは……」
私は言葉に詰まってしまった。
さすがに早坂さんが坂田くんに告白するからと言ってしまうのは憚られた。
「ちゃんと言ってくれんと分からんよ」
ふう、と入っていた力を抜いて、センラくんは言った。
言おうか言うまいか迷って、しばらくしたあと、私はようやく口を開いた。
「………早坂さん、坂田くんに告白するって」
ぼそぼそと周りの音にかき消されそうな声で言った。
「まじか」
センラくんをおそるおそる見上げると、彼は目を見開いて驚いていた。
「邪魔しないでって言われてたから……ごめん」
「もしかして、さっき話してたのってそれ？」
「うん」
私が大人しく頷くと、センラくんは大きなため息をはいた。
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 17時
