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｢へえ、よかったやん｣
バレンタインの報告をセンラにすると、彼はさもどうでも良さそうにそう言ってハイボールを流し込んだ。
｢なにそれ、冷たいわね」
いつもは親身になって慰めてくれるのに、今日はなんだか他人事みたいにそっけない。向かいの席でハイボールを煽る彼は、心なしかいつもよりペースが速い。
山盛りだったフライドポテトは、もうお皿の底が見えている。
｢ええなぁ、Aは。好きな人とバレンタイン過ごせて。ホワイトデーも約束してさ」
じーっと瞳を物憂げに細めて、私を見つめてくる。
｢そんなこと言うならセンラも彼女作ればいいじゃん。作ろうと思えばいつだって作れるでしょ？あんたモテるんだから」
言い寄って来る女の子は星の数ほどいるはずのに、彼はそのうちの誰かと付き合うことはしない。遊ぶことはあったとしても、特定の誰かを作らないのだ。
｢彼女って作ろうと思って作るもんちゃうやろ」
らしくない正論を突き付けられて、ぐうの音も出ない。パッと見はチャラそうに見えるけれど、胸の内はいつでも冷静で理屈の通ったことしか言わない。
だから、センラの言い分には納得せざるを得ないのだが、きっとこの男のことがどうしようもなく好きで、縋り付くしかないであろう女の子たちの方に、やっぱり私は共感してしまう。
｢そう、かもしれないけど……やっぱり可哀想じゃない？｣
そういうと、センラの眉がひくりと動いた。
｢そんなん、中途半端に可能性感じさせるのが一番可哀想やろ。どっかの誰かさんみたいに、愛されてるって錯覚させるのが一番ひどいわ」
その『どっかの誰かさん』が誰なのかはすぐに分かった。
この男の言葉はグサグサと私の心に突き刺さる。だけど、本当にセンラの言う通りだった。
渉さんから愛されていると錯覚して、溺れて。どんどん離れられなくなって。もしかしたら私を選んでくれるかも、なんてありもしないことを夢に見て。
｢………私が望んだことだから。そんなことより、はい｣
バレンタインを過ぎてしまったので売れ残り感が否めないが、ラスト1個だったピエールマルコリーニだ。レア感はあるだろう。
｢おお。ほんまに買ってきたん？｣
｢センラが欲しいって言ったんでしょ｣
昨日要求されたチョコを渡してやると彼は目に見えて機嫌が良くなった。酔いが回ってきたのか、ほんのり赤くなった頬でご機嫌に笑う彼は、さっきの話なんてもうすっかり忘れているように見えた。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2022年3月9日 2時) (
レス) @page36 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 続編待ってました...！これからが楽しみすぎる...更新楽しみにしてます！ (2021年4月2日 16時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» お久しぶりです。おまたせしました！また頑張りますのでよろしくお願いいたします！ (2021年2月20日 23時) (レス) id: f7fd8fd8e6 (このIDを非表示/違反報告)
いずりす - わぁあ!!!続編おめでとうございますぅう…!!!待ってましたぁ…。またりひとさんの作品が更新されるのもう…嬉しすぎて泣けてきます…。無理せずりひとさんのペースで更新頑張ってください!!!これからも応援してます!! (2021年2月20日 13時) (レス) id: 70d681a1bb (このIDを非表示/違反報告)
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