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村形さんは、周囲を見渡して立ち尽くしているセンラに、明るく声をかけた。
「さっきまでここで勉強会の予習をしていたんだ。今度、学生向けにやろうと思っていてね。それができたら法人向けにもやろうと思っているんだ。この図面はその残骸。殴り書きに近いものもあるけど、いい線いってるのもあるんだぞ」
村形さんはそう言いながら、手近な机の上の図面を片付けはじめた。その様子を見て、センラも慌てて片付けはじめる。
そのとき、ドアが開く音が聞こえ振り返れば、センラと同じ部署の先輩である進藤さんが入ってきた。
役職の上では進藤さんの上に立つ人は部内にいるが、実際に設計業務を進める中では、進藤さんは部署内トップのポジションに立っているかもしれない。
人見知りをしない、明るい性格と綺麗な容姿。志麻とは同期らしく、学生時代はどちらがバレンタインのチョコを多くもらえるか勝負したこともあったらしい。進藤さん自身、志麻と勝負できるほどの容姿を自覚し、女性との付き合いも派手だったとも噂されている。
そんな進藤さんも、今では社内結婚して落ち着き、奥さんひとすじだ。左手に光る結婚指輪を周囲に見せびらかし、誇らしげに笑う顔を何度も見たことがある。
「おっ。今年も大賞を逃した折原じゃないか」
センラと目が合った早々、笑うに笑えない言葉を平気で言い放つ進藤さんに、センラも村形さんも呆れて黙り込んだ。
冗談だと分かっていても、いまのセンラには厳しすぎる言葉だ。自分の無能さをダメ押しされたようで、胸に刺さる。それと同時に、この人のどこに、設計のひらめきや才能があるんだろうと不思議に思う。
進藤さんと村形さん。建設業界を牽引する両極端なふたりと一緒にいることは、夢のようなことであり、続く緊張感は途切れそうにもない。
「進藤」
村形さんは、進藤さんに鋭い視線を向けた。
「そういうお前は、コンクールに参加したこともないだろう」
「まあそうだけど。どうも苦手なんだよな。業界のお偉いさん方の趣味で大賞やらが決められるってのが納得できない。建築やデザインに善し悪しの正解なんてないのにさ。自分が大切にしている作品をあれこれ言われるのもムカつくし。お客様が喜んでくれる仕事をすればそれでいいんじゃないのか？」
流れるように出てくる言葉からは、その思いに自信を持っていることが分かる。
たしかにそれは正論であるし、センラ自身も考えない訳ではない。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2022年3月9日 2時) (
レス) @page36 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 続編待ってました...！これからが楽しみすぎる...更新楽しみにしてます！ (2021年4月2日 16時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» お久しぶりです。おまたせしました！また頑張りますのでよろしくお願いいたします！ (2021年2月20日 23時) (レス) id: f7fd8fd8e6 (このIDを非表示/違反報告)
いずりす - わぁあ!!!続編おめでとうございますぅう…!!!待ってましたぁ…。またりひとさんの作品が更新されるのもう…嬉しすぎて泣けてきます…。無理せずりひとさんのペースで更新頑張ってください!!!これからも応援してます!! (2021年2月20日 13時) (レス) id: 70d681a1bb (このIDを非表示/違反報告)
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