Marigold ページ14
朝、Aに言いかけた言葉が、まだ喉の奥につかえているような感じがする。
センラはエレベーターのボタンを乱暴に押した。
その前に会ったのは年末。いくら酒が入っていたからとはいえ、感情まかせにあんなことを言ってしまったのを、センラは未だに後悔していた。
最初の頃は、うらたとの不倫関係なんて長くは続かないだろう、とタカを括っていた。けれど、センラの予想に反して彼女はずっとうらたのことを思っていたし、うらたも彼女を手放そうとしなかった。
それから、Aはどう思っているか知らないが、知らん顔して近づいてきた伊藤にもイラついていた。
Aの前で伊藤の名前を出してから、何かあったのだろうと、意地の悪い気持ちが生まれ、センラの口から出たいくつかの言葉は、Aを傷つけたに違いなかった。
Aの気持ちがこちらに向かなくても、彼女を慰められるのは、彼女が素直に涙を流せるのは自分の前でだけなのだという自負があった。
だからこそ、ほかの男に取られるんじゃないかと思うと、いてもたってもいられなかったのだ。
自分の気持ちも伝えることなく、どうにかしてAのそばに居るための口実を作っている俺は、どうしようもなくずるく、弱い男なのだ。腹の底から湧き上がってくる感情に、センラはわずかに唇を歪めた。
エレベーターの音でハッとした。ゆっくりと開いた扉の向こうは廊下が伸びている。センラはゆっくりと息を吐いた。
「初めまして。折原センラです」
「村方です。年始なのに、すまないね」
会社の会議室で待っていたのは、学生の頃から目標にしている村形さんだ。村形さんは、自分が在籍する「丸八建設」の社員であるなしに関わらず、後進育成のために力を注ぎ、自分の立場をいい意味で利用しながら若手に刺激を与え続けている。
建設業界で設計デザインに携わっている者の大半が憧れている人でもあり、あらゆる会社や学校に出向いては、若手への指導を惜しまない、人間的にも評価の高い人だ。
そういう背景もあって、村形さんは設計デザインコンクールの審査員を務めており、その知名度と地位は年々上がっている。
そんな、滅多に会えない人が目の前にいる。それだけでも緊張しているのに、広い会議室の机という机に散らばっている図面に気づき、訳が分からずその緊張は増していく。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2022年3月9日 2時) (
レス) @page36 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 続編待ってました...！これからが楽しみすぎる...更新楽しみにしてます！ (2021年4月2日 16時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - いずりすさん» お久しぶりです。おまたせしました！また頑張りますのでよろしくお願いいたします！ (2021年2月20日 23時) (レス) id: f7fd8fd8e6 (このIDを非表示/違反報告)
いずりす - わぁあ!!!続編おめでとうございますぅう…!!!待ってましたぁ…。またりひとさんの作品が更新されるのもう…嬉しすぎて泣けてきます…。無理せずりひとさんのペースで更新頑張ってください!!!これからも応援してます!! (2021年2月20日 13時) (レス) id: 70d681a1bb (このIDを非表示/違反報告)
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