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土曜の夜は、深夜に近いといえど繁華街は賑わっている。
次の日が休みだから、みんな気が緩んでいるのだろう。人波を避けながら、少し前を歩く志麻を追いかける。
彼は少し前から、魔力探知という魔法で魔力を感知したからだろうか、めっきり話さなくなって人混みの中を強引に通り抜けていく。
「志麻、待って」
ずんずん進んでいく志麻に声をかけるけれど、騒がしい周りの音にかき消されて彼の耳には届かなかったらしい。
「志麻！」
志麻はAに呼ばれたような気がして、ハッとして後ろを振り返った。あたりを見回してみるが、彼女の姿は見当たらない。魔力探知で相手を追うのに夢中で、はぐれてしまったらしい。
しまった、と自分の失態に忌々しげに舌打ちをして大通りから外れた路地に踏み込んだ。そして、Aの気配を探る。
Aには自分の魔力をほんの少しだけ纏わせている。最近、彼女と寝るようにしているのはこのためだ。例えるなら、犬がマーキングをするのと同じ、自分のものだと魔力を持ったやつ(つまり魔物や悪魔たち)に暗に示すのだ。だから、強い魔物か、もしくは余程の阿呆でない限り、彼女にちょっかいをかける魔物はいないはずだ。
「………いた」
なけなしの魔力を使うには、ひどく苦労する。下界にいたときから使わないからなおさらだ。彼女はそう遠くないところにいるようだった。
すぐ近くには雑魚だが魔物の気配がある。志麻はもう一度舌打ちをして、彼女のいるであろう場所に向けて足早に歩き出した。
ひとけのない路地を抜けていく。このあたりは以前来たことがあるから、道は覚えている。人混みの中を抜けていくよりも路地を抜けたほうが早いのだ。
さっきまでゆっくりだったAの気配が急に早く動きだした。それに合わせて、近くにいた魔物の気配も動き出す。
「………くそっ」
志麻は足を早める。やはり彼女を連れてくるべきではなかったのかもしれない。Aがいるのは大通りを挟んで向こう側の路地のようだった。人波を強引に掻き分けながら向こう側に渡っていく。路地の奥に、Aの後ろ姿がちらりと見えた。
その向こうには、男の姿。この気配は、魔物だ。それを見て、志麻は強く地面を蹴った。
「A！！」
2人が驚いた顔でこちらを見る。志麻は手を伸ばしてAを引き寄せて、自分の背中に隠すようにして前に立った。
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りひと(プロフ) - みぃさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけて何よりです。がんばりますので、今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年9月21日 22時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 感情移入してしまうくらい本当に面白いです（ ; ; ）更新頑張ってください！楽しみに待っています！ (2020年9月21日 4時) (レス) id: d65a61624a (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まーかーさん» コメントありがとうございます。がんばります！ (2020年9月12日 12時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
まーかー(プロフ) - 続編おめでとうございます！あぁ...すごい切ない展開...更新がんばってください！ (2020年9月11日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - Quuさん» コメントありがとうございます。マルボロの話はずっとどこかで出したいと思っていたので私も嬉しいです。志麻さんの話はなかなか書く機会に恵まれず、完結している作品がないので、このお話は最後まで書けるよう頑張ります。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年9月8日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年9月3日 21時
