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あらかじめ戦うために生まれた動物のように、うらたの体が荒れた地を蹴り、敵陣のさなかに飛び込んでいく。
しなやかに、獰猛に、翡翠の瞳を爛々と光らせて。
100は超える屍らを、かけらも恐れることのない勢いで突っ込んでいく。秒単位で屍の集団を端からなぎ倒していく。反対サイドでは、坂田が同じように次々と蹴散らしていた。
とっとと片付けて、Aを助ける。
先程ルシファーに折られたAの左腕は腫れ上がっている。ぼやぼやしていては、彼女の怪我が悪化する。人間は弱く脆いから、早くまふまふのところに連れていってやらなければならない。
うらたにしてみれば、それこそが恐れるべきことだった。
シンプルな思考回路で、彼の頭を占めているのはそれだけだ。
呼吸をするように攻撃を繰り出し、全身を躍動させて戦場を立回る。
ふと、うらたは視線を横にすべらせる。
光が膨れ上がっていた。luzの魔法だ。
「跳べ！！」
うらたの言葉に、他の3人は反射的に上に高く跳んだ。
瞬間、鮮烈な輝きが足元を埋めつくし、その光が消えた頃には屍たちは跡形もなく消し去られていた。
「倒せないなら、消せば問題ないでしょ」
luzは満足気に笑った。
「まだまだゲームはこれからやろ？」
センラがにこやかに言って、ぱんぱんと軽く手を払う。
「ルシファー。お前はこのゲーム、何を賭ける？」
挑発するように志麻がにやりと笑った。
「………無論、賭けるものは互いの命に決まっているだろう」
ルシファーが言った瞬間、坂田が一気に間合いを詰めた。けれど彼の拳は空を切る。
「前と変わらんな………！」
鼻で笑ったところで、背後からの気配に気づき、ルシファーは飛び退いた。その次の瞬間、彼のいた場所には志麻が刀を振り下ろしていた。もう少し気づくのが遅ければ、2枚に下ろされていたところだった。
けれど、まだまだ攻撃は単純で、分かりやすい。避けるのは容易な事だった。着地した瞬間、今度は横からなにかが迫ってきて、ルシファーは慌ててそれを魔法でそれを相殺する。
視線の先では、うらたが次の魔法を放つところだった。
「………小バエ共が」
ルシファーは小さく舌打ちをして自分に向けられた光の玉を避けた。
4人………luzも入れて5人。誰もが自分を恐れていなかった。あの禁忌の娘と全く同じだ。いままでの魔物たちとは明らかに違う。ルシファーにとってそれはあまりにも屈辱的なことだった。
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ちょこ - とてもよかったです！その後話がもっと欲しい！ (2022年6月26日 23時) (
レス) @page23 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 気づいたらこのお話に飲まれてました。とても素敵なお話をありがとうございました。他の作品も読みます！(*'▽'*) (2022年6月20日 21時) (レス) @page23 id: 020978a023 (このIDを非表示/違反報告)
ぷ(プロフ) - 読むたびに世界観に飲まれていきました。気付いたら最後まで読んでいました。素敵な世界を覗けてよかったです。ありがとうございました。 (2020年9月10日 20時) (レス) id: 5dd39aece4 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - 水無。さん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたのであれば何よりです。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年9月4日 23時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
水無。(プロフ) - ことで話にのめり込みやすかったですし、特に坂田さんの初々しいしい恋の表現の仕方には毎回きゅんきゅんさせられました。りひとさんの作る作品が大好きです。新作も前の作品も漁ってたくさん読みたいと思います。素晴らしい作品をありがとうございました！ (2020年9月3日 21時) (レス) id: 2fdfcf242b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年8月1日 11時
