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「よ、luzくん。相変わらず女癖悪くて男にばっか追いかけられてんの？」
ちょうど足元に転がってきた魔法使いに、うらたはからかうような声をかける。
「う、うらたさん？ちょうどいいから、助けて！さすがにあの人数はキツいわ」
luzは、これ安心とばかりにうらたにしがみついた。額は割れて血が流れている。イケメンが台無しだ。
「助けてもいいけど、その前に俺のお願い聞いてくんない？」
luzを追って廊下の奥に姿を現した魔物たちをちらりと見遣り、うらたは涼しい顔で言った。
「お、お願い？なに？」
「まふたちのゴーストシップに連れてって欲しい。俺含めて、5人」
「5人も！？」
「あ、そ。無理ならいいわ、帰る」
魔物たちがluzの名を大声で呼びながら、廊下を走ってくる。luzは一気に顔をひきつらせ、うらたにしがみついた手にますます力を込めた。
「わかった！わかったから！やるから！」
「よし。これで貸し借りなしな」
うらたはグラスを目前まで迫っていた魔物に投げつけると、思い切り蹴飛ばした。
「なんだ、てめえは！？」
たちまち魔物の殺気の籠った視線が飛んでくる。
「なにって。こいつの友達」
「ふざけんな。怪我したくなかったらすっこんでろ！」
「友情に厚い俺には酷な言葉だなぁ、それは」
言い終わらぬうちにうらたは、左肘で一体、右足で一体片づけた。
「いいぞ、兄ちゃん！」「やっちまえ！」
すでに店はやんやの喝采である。luzに向かってきていた魔物たちは、次々と床に沈んでいく。そして、最後の一体が顔面にうらたの手刀をくらって泡をふき吹っ飛んだとき、店中から割れんばかりの拍手が沸き起こった。たが、盛り上がったのもつかの間。耳障りなサイレンが、突然店の外で唸りをあげた。
「憲兵だ！」
「非戦闘地域」に指定されているため、争いを静粛するための憲兵がいるのだ。たちまち店内は、今までとは違うざわめきに包まれる。
「裏口から出よう」
「裏口ってどっちだよ！」
「あっち」
答えた声は、luzではなかった。驚いて顔を上げると、店主が仏頂面で店の奥を指さしている。
「さんきゅ、今日のはluzのツケにしといてくれ」
疾風のように去っていった数秒後、店内に踏み込んできた憲兵は、店内でみっともなく伸びている魔物をまとめて捕え、店主に事態の説明を求めた。
そのとき店主は顔色ひとつ変えずに、
「仲間割れの喧嘩らしい」
と、大嘘をついてくれたのだった。
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りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
