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「………ナナ」
センラも、このまま2人でいられるならそれでいいか。と心の片隅で思った。ずっと求めていた相手に求められるということに、心が踊る。
けれど、どこかでストップをかける自分がいるのも確かだった。それを知ってか知らずか、ナナはセンラに搦めた腕を強めて言う。
「センラはまだ、私のこと好きでいてくれてるの？」
「知ってたん……？」
「なんとなくね……ねぇ、私のこと、もう好きじゃない？」
「…………好きやよ。ずっと昔から」
そう答えると、彼女は顔をほころばせた。これでいい。これでいいんだ。センラは自分に言い聞かせるように心の中で言った。
でもAだったら、きっとこんなこと聞いてこない。彼女なら「早く帰って、みんなでセンラさんの作った料理を食べましょう」とでも言いそうだ。
そういえば、彼女が食べたいと言っていたプリンを作ってなかった。Aが目覚めたら、プリンだけじゃなく、好きな物を好きなだけ作ってやろう。
そこまで考えて、センラはハッとした。どうして自分は、ナナをAに重ねているのだろう。Aをナナに重ねていたけれど、その逆はありえない。センラは自分自身を信じられなかった。
「ねえ、センラ。私と行きましょう？ふたりで」
思考と溶かすような声に、センラは思わず頷きたくなった。
…………本当にいいのだろうか。ナナとふたりでいられるなら、他に何もいらない。堕天する前からずっと思っていたことだ。
けど、いまは？
頷けなかったのには、理由がある。うらたに志麻、そして坂田。下界に来てから、かけがえのない仲間に出会えた。天界では手に入れられなかった、大切な仲間だ。その仲間たちを裏切って行くことになる。それで、自分はいいのだろうか。
それに、Aのことも心配だった。彼女は本当は怖いくせに強がりで、でも真っ直ぐで、誰にでも優しい。ナナに似て可愛らしくて、そして何よりも彼女のいいところは、姿かたちで善悪を判別しないところだ。
ぐるぐると考えばかりが頭をめぐって言葉にならない。理性を溶かしていくように、ナナが甘くささやいた。
「センラ………私、センラとずっと一緒にいたいの…………好きなの」
どくん、と心臓が大きく跳ねた。
大好きで、ずっと求めていた彼女と、一緒に生きていける。
なんて幸せな響きだろう。
「ナナ、俺…………」
鼻と鼻がくっつきそうなくらい近くに、ナナの顔がある。
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りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
