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「…………で、そらるさんに言われたから行こうってわけ？」
静まり返った真っ暗な甲板を物陰で、志麻がひっそりと囁いた。
昼間そらるに言われたことがどうにも気になり、志麻に事情を話して2人で一緒に来たのだ。
「そらるさん、夜にここに来れば知りたいことが分かるって言っとったんよな？」
「ああ」
「そらるさん、なにを知っとるんやろ」
志麻の言う通り、そらるが何を知っているのか、うらたにも全く想像できなかった。みんな寝ているというのに、こんな夜中に何がわかると言うのだろう。
もう15分も待っているのだけれど、誰かが来そうな雰囲気はちっともない。
そらるにからかわれただけなのだろうか。
もう戻ろうか。そう言おうと口を開きかけて、うらたは口をつぐんだ。誰かの足音が聞こえたのだ。志麻にも聞こえたようで、彼も気配を殺して身を潜める。
だんだんと足音はこちらに近づいてきて、ついに船内と甲板をつなぐ扉が開いた。そっとそちらを伺うと、やってきたのはそらるだった。
彼はすぐにこちらに気づいたようだったが、視線を投げるだけで話しかけては来なかった。すぐに別の足音が聞こえてきたので、うらたたちも話しかけるには至らず、そのまま物陰に息を潜める。
さっきまでのそらるの足音よりも幾分か軽い。やがて甲板に姿を現した人物に、うらたは思わず声を上げそうになって慌てて口元を手で押えた。
「あれ………Aやんな？」
隣の志麻がようやく聞き取れるかどうかの囁き声で言う。うらたは小さく頷くと、迷うことなくそらるの元に向かうAの後ろ姿を追った。
幸いにも、Aはこちらに気づかなかったらしい。そらるも彼女が来ることを分かっていたような態度だった。
Aが最近眠そうにしていたのは、毎晩ここでそらるに会っていたからだったのか。
けれど、どうして…………？
わざわざこんな夜中に密会する必要なんてあるんだろうか？
そこまで考えて、うらたはハッとした。
まさか、自分たちには言えないような、やましいことでもあるのだろうか。
だからAは自分たちに隠そうとしたのではないだろうか。
志麻も訝しげな表情でAたちを見つめていた。ここからでは波音に掻き消されて2人の会話は聞き取れない。
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りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
