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Aはなにか隠している。
「わかった」
しばらく押し問答をした結果、うらたはあきらめて彼女から手を離した。
「そんなに言いたくないなら勝手にしろ」
と言って、うらたはわざとらしくため息をつくと、それ以上なにも言うことなく乱暴に扉を開けて部屋を出ていってしまった。去っていく後ろ姿を、Aは寂しそうに見送った。
うらたが出ていってしまってから、Aはまた俯いた。
また、怒らせてしまった。なんだかいつも、迷惑をかけてばかりだ。ほんとうはそんなことしたくないのに。もっと、なにかちゃんとしたことを話したいのに。
数日前、彼らに「ここに居てもいいのだ」と言われたときは本当に嬉しかった。だから、自分もなにか役に立ちたいと思った。お荷物にはなりたくなかった。
「………A、ほんまに何もないんやな？」
うらたが出ていってしまった扉を見つめながら、志麻がいう。Aは小さく頷いた。
「うらたさんも、心配しとるんよ。ナイトメアのこともあったし」
「…………はい」
心配してくれているのはなんとなく伝わってきていた。けれど、そらるに稽古をつけてもらっていると知られれば「そんなの必要ない」と言われてしまうと思ったのだ。そらるにも他言無用と言われている。
そらるには毎晩稽古をつけてもらっている。自分の身を自分で守れるようになることは、下界では必要最低限のことだとそらるに言われたのは記憶に新しい。
Aは悪魔や魔物たちのように魔法は使えない。だから、戦って勝つことが目標ではない。見つからないように戦いを避けること、そして、戦闘になった際は必要最低限の体術で逃げることだ。
真っ向から戦って人間が勝てる見込みはほとんどない。だからこそ、生き延びる術を身につける必要があった。
心配させるつもりなんて、なかったのに。
「ごめんなさい、志麻さん」
「それはうらたさんに言ってやり。口ではああ言っとるけど、たぶんうらたさんが一番心配しとるから」
「………はい」
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りひと(プロフ) - 凍華＠ラさん» コメントありがとうございます。みなさまの応援のおかげで、ありがたいことにランキングに載ることができました。今後ともお楽しみいただけるよう更新してまいります。引き続きよろしくお願いいたします。 (2020年5月29日 19時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
凍華＠ラ(プロフ) - よくランキングに載っている作品だったので、少し気になって読ませていただきました。本当に面白くて、一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。無理のない範囲での更新、頑張ってください！ (2020年5月29日 12時) (レス) id: 960374666f (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - over the rainさん» コメントありがとうございます。お楽しみいただけたこと嬉しく思います。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年5月26日 22時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 続編おめでとうございます。題名に惹かれ読み始めてこらあっという間に3作品目でびっくりです。応援してます。 (2020年5月26日 6時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - ありまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しく思います。今後とも、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年5月25日 18時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2020年5月24日 23時
