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わがままをあまり言わない、というよりかは相手に求めるということに慣れていないAは、自分でも知らず知らずのうちに溜め込んでしまっていることが多い。
「あかんなぁ………」
最初は常に意識していたことが、最近忘れがちになっていたことに気がつく。志麻にも任されているというのに、なんというザマだろう。
もちろん、人間だから疲れないわけないのだが、Aが何も言わずにしてくれるのをいいことに、甘えていた気がする。
Aを甘やかすのではなく、自分が甘えていたのだ。
「…………あ」
ふと、視線をあげると、テレビは料理番組になっていた。今日はオムライスを作っている。
それを見て、Aがセンラの作ったオムライスを喜んで食べてくれていたのを思い出した。
あの頃は、Aの好みもわからず、どうやったら喜んでくれるのかも分からずにいた。少しずつ表情が読めるようになってきた頃で、オムライスは分かりやすくAの顔がほころんでいたから、とても嬉しかったのを覚えている。
………また、喜んでくれるだろうか。
安心しきった顔で眠る彼女を見ながら、センラは思う。
そのまま、飽きることなく彼女の寝顔を眺め、時おりキスをしながら頭を撫でる。こんなにも相手を愛おしいと思えるのは、Aが初めてだった。
時刻はいつの間にか17時を指していて、センラは重たい腰をようやく上げて、久方ぶりにキッチンに立った。
自分が使っていた時とはまるで違うように見えて、Aが毎朝毎晩センラのためにここに立っているのだと思うと、思わず口元がゆるむ。
昼に炊いたご飯の残りがあったので、それを細かく切った野菜類と一緒にフライパンに突っ込んでやる。
ケチャップで味付けしたチキンライスを作り、あとはたまごだ。
ちょっと牛乳で溶いた、ゆるめの卵液をフライパンに流し入れ、ちょうどいい所でチキンライスの上に盛り付けてやる。
我ながら、久びさに作ったわりには上出来だ。
2つ目を作り終える頃、匂いに釣られたのか、Aがうとうとしながらキッチンに入ってきた。
「せんらさ……」
「起きた？」
「ん………」
いつもはAが先に起きているので、彼女の寝起きを見れるのはなかなかない。いつもと違う、たどたどしい口調は、なんだか幼さを感じて可愛く思えた。
「ごめ、なさい……ごはん、」
「ええよ。ほら、おいで」
センラが呼ぶと、Aは彼の腕の中にすっぽりと収まった。
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まつり(プロフ) - なるほど！！！続編も短編も両方楽しめるということですね！読者的にはすごい得した気分です！掛け持ちになると思うので自分のペースでお身体壊さないようにしてください…！更新、楽しみにしてます！ (2020年4月11日 19時) (
レス) id: dc65f13ca7 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まつりさん» ありがとうございます。続編に入る前に、短編を書いて思い出しながらやっていこうと思っています。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年4月11日 19時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - いきなり更新されて驚きました！大好きな挨拶シリーズの新しいお話が読めてとっても幸せです！！！ありがとうございます！ (2020年4月10日 0時) (レス) id: dc65f13ca7 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - 。。。さん» ありがとうございます。解除いたしました。ご迷惑おかけし申し訳ございません (2019年11月12日 17時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
。。。 - オリジナルフラグはちゃんと外して下さいね。。。 (2019年11月12日 17時) (レス) id: 0cc258f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 16時
