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ひとしきりものを仕舞い終わると、昼になる頃だった。
起きてから牛乳以外なにも口にしていないセンラの腹が空腹を訴えはじめたのを聞いて、Aはくすりと笑みをこぼして
「お昼ご飯にしましょうか」
といった。昨日の残りのトンカツを冷蔵庫から引っ張り出してきて、そのまま温めるのかと思いきや、Aがフライパンを取り出したのでセンラは首を傾げた。
「なにするん？」
「卵とじにして、カツ丼にしようかと思って」
「あ、うまそう」
慣れた手つきで料理をしていくAの横顔は何時間でも見ていられそうだ。
「そういえばセンラさん、今度の新卒ってどんな子なんでしょう？」
そう聞きながら、Aの手が止まることはない。
来月からセンラたちの部署に配属される新入社員は3人。男が二人と、女が一人だった。担当上司には、中堅どころのAと彼女の同期の男性社員２名がつく予定になっていたのだ。
「まあ、ぼちぼちなんとちゃう？俺も、顔写真と履歴書しか見てへんし」
センラは育成の統括になっていたので、一足先に新入社員のデータは目を通していた。だが、特段なにか気にして置くような点は見当たらず、いつも通りだろうと検討をつけていた。
「そうなんですか」
「愛想良くせなあかんよ」
「これでも改善した方だと思うんですけどねぇ」
たしかに、この半年1年で、彼女はずいぶんと変わった。まだまだ普通の人と比べたら表現には乏しいが、ずいぶんと雰囲気も柔らかくなったし、話すようになった。
かなりの進歩だとセンラは思う。だが、それと同時に心配事も増えた。
話しかけやすくなったAを狙う輩が増えてきたのだ。
Aは自分のだと声を大にして言ってやりたいが、まだ救いようがあった。どうもAはそういうことに疎いらしく、まったく気がついていないということだ。
「…………あんまり可愛くなられるのも、困りもんやな」
「何か言いました？」
「なんも。何かあったらすぐ相談せえよ」
「はい」
それから、まだキス止まりなのも、センラにとっては不安になるひとつの要素だった。
けれど、Aにとってその先のことをするためには、きっと過去を乗り越えなければならないだろう。
身体を重ねることは、おそらく彼女はトラウマになってしまっているに違いない。彼女を怖がらせることは本意ではない。
でもいつか、近いうちに、という願望があるのも確かだった。
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まつり(プロフ) - なるほど！！！続編も短編も両方楽しめるということですね！読者的にはすごい得した気分です！掛け持ちになると思うので自分のペースでお身体壊さないようにしてください…！更新、楽しみにしてます！ (2020年4月11日 19時) (
レス) id: dc65f13ca7 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まつりさん» ありがとうございます。続編に入る前に、短編を書いて思い出しながらやっていこうと思っています。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年4月11日 19時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - いきなり更新されて驚きました！大好きな挨拶シリーズの新しいお話が読めてとっても幸せです！！！ありがとうございます！ (2020年4月10日 0時) (レス) id: dc65f13ca7 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - 。。。さん» ありがとうございます。解除いたしました。ご迷惑おかけし申し訳ございません (2019年11月12日 17時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
。。。 - オリジナルフラグはちゃんと外して下さいね。。。 (2019年11月12日 17時) (レス) id: 0cc258f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 16時
