グットモーニング・トウキョウ【センラ】 (ページ4)

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「「お先に失礼しまーす」」

そう言って同時に退社したのは、部下の佐藤さんやった。

「偶然やね。このあと、なにか予定でもあるん？」

何度も言うが、今日は華金だ。
彼氏がいれば会う予定くらいはあるのだろう。

「そうですねぇ、コンビニに行こうとは思ってますけど」

「なんや、それだったら俺も行く予定だったから、一緒に行かん？」

すると、彼女は一瞬怪訝そうな顔をしたが、上司の手前、Noとは言えなかったのだろう、しぶしぶ頷いた。

「家、どのあたりなん？」

「○○駅が最寄りです」

「えっ、俺もそこ最寄りやねん！意外とご近所さんだったりしてなぁ」

「どうでしょうねぇ」

彼女は思っていたよりものんびりした口調で答えた。
勤務時間を終えたいま、この話し方が彼女元来なのかもしれない。

ひとつ、彼女を知れた気がして
達成感と優越感がふつふつと心を満たす。

どうせなら、と互いの最寄り駅に着いてから、駅にほど近いセブンに入る。

俺は真っ先にビールを数本、カゴの中に突っ込んだ。

彼女はというと、新商品コーナーにある菓子をカゴに入れていた。

…あのコンビニの新商品を食べるのが趣味というのは、真実だったのかもしれない

「あ、これ」

彼女のいる新商品コーナーで見つけたアイスクリーム。
前にテレビでやっていたので、気になってはいたのだ。

案の定、彼女のカゴの中にも同じ商品が入ってい。

「ありがとうございましたー」

間延びした店員の声をバックに店を出る

互いに会計をしたあと、それぞれの帰路に着く。
偶然にも、帰る方向は同じだったらしい。

「そういえば、新商品好きなん？」

「趣味なんですよね。好きですし。甘いものも、新しいものも」

第一印象は、食えないやつ。

かと思えば、庶民臭くて、新しいもの好き。

「コンビニの新商品って3週間周期で入れ替わるんですよね〜。だから、機会逃すと売れなかった商品は二度とお目にかかれないんですよ」

「へえ、そうなんか」

…そして、何かと役に立たないことまで知っている

「じゃあ、私ここなんで」

そう言って指さしたのは、俺のアパートの2件隣だった。

「え、マジ？俺のアパートこの2軒先やで？」

「へぇ」

「へえって、他になんかないんかい」

「…特には。驚きはしましたけどね」

「まあ、また月曜日な」

「はい」

彼女は特に興味を示すことも無く、自分のアパートへと姿を消した。

残された俺は、「なんだかなぁ」とひとりごちた。