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俺は内心、焦っていた。
坂田に取られてしまうという焦りが募り、勢いに任せて、Aに告白したはいいものの、坂田には先手を打たれていて、どう見ても俺は出遅れている。
俺にあって坂田にないものは、彼女との物理的距離だ。
大学も一緒、バイト先も一緒、おまけに家も近い。
だが、夏休みに入ったいまは、そんなものあってないようなものに等しい。
つまり、俺が坂田よりも有利になれるものはないのだ。
坂田の方がずっと前から彼女が好きで、想いも伝えている。
坂田はまっすぐにものを言うやつだから、分かりやすく「好き」を伝えているのだろう。
その一方で、俺はというと、素直になれずに回りくどい方法しか取れていない。
頼れと伝えたときと、告白した時と、バイト帰りに彼女の手を握ったくらいだ。
大学生にもなって、やってることが初々しすぎて笑える。
Aが大学に入ってから、彼女の隣にいるのは俺だ。
その場所は、誰にも渡したくない。
仲のいい坂田にすら、そこだけは譲れない。
過去に坂田がいた場所だったかもしれないが、いまは、俺の場所だ。
「あっつ、」
そんなことを考えながらハンバーグを焼いていたら、油が飛んできて、現実に引き戻された。
「うらたくん、大丈夫？やけど？」
「あ、大丈夫です。やけどもしてないっぽいんで」
「あ、ならよかったー！気をつけてねー」
夏休み中のファミレスは、家族連れで混雑する。
子供に人気のハンバーグは、よく出るメニューのひとつだった。
キッチンからホールをのぞくと、やはり家族連れが多く、みんな幸せそうに笑っている。
Aはどうなんだろう。
あいつは、俺といるのと、坂田と一緒にいるの、どっちが幸せなんだろう。
「そういえばさあ、この間、酔っ払い客に絡まれたA庇ったんだって？」
同じキッチンの谷中がパフェを作りながら俺に言った。
「ああ、そうだけど」
「いいなぁ、A、けっこう可愛いしさあ。俺もそういう展開でAのこと庇って、カッコイイとか思われたいわ」
不意に、内蔵がねじれてちぎれるような感覚が俺を貫いた。
奥歯をぐっと噛みしめて、痛みをこらえる。
何なんだこれは、と一瞬考えて、思い当たった。
嫉妬だ。
坂田や谷中に限ったことじゃない。
俺は、自分がこんなにも嫉妬深いだなんて知らなかった。
はやく、俺だけを見て。
そう願ってやまない。
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りひと(プロフ) - みかんさん» みかん様/ コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです♪今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年1月1日 10時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 完結おめでとうございます！りひとさんの作品大好きです。これからも応援しています、頑張ってください！ (2020年1月1日 9時) (レス) id: 6edfb9ce46 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - しぃさん» しぃ様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！またコメントお待ちしておりますね♪ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まつりさん» まつり様/ありがとうございます！新年には新しい作品も投稿してまいりますので、今後ともよろしくお願いします♪またコメントお待ちしておりますね！ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好きな作品なので2人分のルートを作ってくださり、とても嬉しかったです！他の作品の更新も楽しみにしています (2019年12月31日 19時) (レス) id: 42c92e6201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月24日 11時
