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しばらくの沈黙のあと、ようやく口を開いたのは、私だった。
「坂田くん」
「ん？」
「私ね、わかったよ。好きな人」
これから告白するのだと思うと、心臓がバクバクとうるさくなり始めた。
「……そっか。」
坂田くんは小さくそう呟くと、地面に視線を落とした。
「……言いに来てくれて、ありがとう。うらさんに、たくさん幸せにしてもらってな」
「……え？」
彼から出た言葉に、私は言葉を失った。
「Aちゃんの好きな人、うらさんやろ？」
「っ、ちがうよ、坂田くん、勘違いしてる」
「勘違い？だって、うらさんと付き合うから、ごめんって言いに来たんと……」
そこまで聞いて、思わず私は坂田くんの腕を掴んでこちらにぐいっと引っ張り、口を塞いでやった。
ほんの一瞬の出来事だった。
唇を離すと、何が起こったのか分からないと言った顔の坂田くんと目が合った。
「好き」
彼の紅玉を宿した瞳が、こぼれ落ちてしまいそうなほど大きく見開かれる。
「坂田くんが、好き」
私はもう一度、彼に言った。
もう、恥ずかしさなんてどこにもなかった。
伝わって欲しい、その一心だった。
「ほんまに……？」
信じられないとでも言うように、坂田くんは呟いた。
私は坂田くんの言葉に、黙って頷いた。
「ほんまに、俺でいいん…？」
坂田くんは、おそるおそる私に触れた。
震える指先で、頬に、そこから輪郭をなぞるようにあごのラインをなぞる。
私は、まっすぐに彼を見つめた。
かなり長いこと見つめ合っていた気がする。
不思議なほど、照れくさくない。
どちらからともなく、そっと顔を近づけていく。
坂田くんが目を閉じるのをみて、私もそうした。
二人とも、息をひそめていた。
そっと、顔が離れると、坂田くんはそのまま腕を伸ばして、私をぎゅうぎゅうと抱きしめた。
「……ほんま、嬉しい」
私の耳元で、坂田くんが囁いた。
「もう、離さへんからな」
一度は離れ離れになってしまった私たち。
遠回りをして、ようやく元に戻ってきた。
元に戻ったというのは、語弊がある。
前よりもずっと、私たちは恋を知ったのかもしれない。
坂田くんが、伝え続けてくれたから、いまがあるのだと思うと、どうしようもなく彼が愛しくなる。
その想いを伝えたくて、坂田くんの背中に腕を回していた。
私の行動に、坂田くんはびっくりしたように固まってしまったようだった。
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りひと(プロフ) - みかんさん» みかん様/ コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです♪今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年1月1日 10時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 完結おめでとうございます！りひとさんの作品大好きです。これからも応援しています、頑張ってください！ (2020年1月1日 9時) (レス) id: 6edfb9ce46 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - しぃさん» しぃ様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！またコメントお待ちしておりますね♪ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まつりさん» まつり様/ありがとうございます！新年には新しい作品も投稿してまいりますので、今後ともよろしくお願いします♪またコメントお待ちしておりますね！ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好きな作品なので2人分のルートを作ってくださり、とても嬉しかったです！他の作品の更新も楽しみにしています (2019年12月31日 19時) (レス) id: 42c92e6201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月24日 11時
