君のいる世界で【赤】 ページ25
夜道を転がるように走りながら、坂田くんに電話をかけた。
「出て……！」
会わなきゃ。
その気持ちだけが私を動かす。
日頃の運動不足がたたって、息はすぐにあがってしまう。
しばらく着信がなった後に、「もしもし」と相手は沈んだ声で電話に出た。
「坂田くん！！いま、どこにいる？」
「うぇ！？Aちゃん！？」
坂田くんの驚いた声と一緒に、ガタンガタンッ、と大きな音が聞こえた。
どうやら、驚いた拍子にスマホを落としたらしい。
私のアパートの最寄り駅が見えてきて、スピードを落とす。
「ご、ごめん！なんて？」
「坂田くん、いまから、会いに行っていい？」
「え、いまから！？別に、ええけど……Aちゃん、いまどこにいるん？」
「いま、○○駅。坂田くんは？」
「俺はいま、家に居るけど」
「じゃ、そっちいくね！」
「え、ちょっ、」
坂田くんの返事を聞く前に、電話を切った。
こんなにも行動的になるのって、生まれて初めてなんじゃないだろうか。
改札を滑るように抜けて、電車にとびのる。
たったの3駅ですら、もどかしかった。
太陽みたいに笑う坂田くんの笑顔をずっとそばで見ていたいと思った。
たまに見せるあの切ない顔を、笑顔にしたいと思った。
「好き」を体いっぱいで表現してくれる坂田くんが、好きだ。
電車が駅に着き、扉が開くと同時に私は電車から飛び降り、ホームへと続く階段を駆け上がった。
改札の向こう側に、赤い影が見えた。
「坂田くん！」
彼は私の声に気がついて、こちらを向いた。
「どうしたん？急に」
「わかったの。私の、好きな人」
まっすぐに坂田くんの方を見て言うと、彼が息を飲むのがわかった。
「ここじゃあ、あれだから、ちょっと歩くか」
「うん」
坂田くんが、ゆっくりと歩きだす。
思えば、坂田くんの最寄り駅は知っていたが、来たのは初めてのことだった。
駅を出ると、昔ながらの商店街が並んでいて、そこを抜けると、住宅街に出る。
アパートが立ち並ぶ通りにぽつんと、小さな公園があった。
「ここでいい？」
「うん」
そういえば、大学に入って坂田くんと初めて話したのも公園だったな、と思い出す。
坂田くんはブランコの支柱に寄りかかって、私を見つめた。
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りひと(プロフ) - みかんさん» みかん様/ コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです♪今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年1月1日 10時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 完結おめでとうございます！りひとさんの作品大好きです。これからも応援しています、頑張ってください！ (2020年1月1日 9時) (レス) id: 6edfb9ce46 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - しぃさん» しぃ様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！またコメントお待ちしておりますね♪ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まつりさん» まつり様/ありがとうございます！新年には新しい作品も投稿してまいりますので、今後ともよろしくお願いします♪またコメントお待ちしておりますね！ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好きな作品なので2人分のルートを作ってくださり、とても嬉しかったです！他の作品の更新も楽しみにしています (2019年12月31日 19時) (レス) id: 42c92e6201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月24日 11時
