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「A、」
少し掠れた色っぽい声で、うらたさんが私の名前を呼ぶ。
彼の声でささやかれる私の名前は特別な響きをしているように錯覚すら覚える。
名前を呼ばれただけなのに、あふれるような想いで息が詰まりそうになる。
「……うらたさん」
消えりいそうな声で私がつぶやくと、
「なに？」
思っていたよりもずっと優しくて穏やかな声が返ってきた。
「………次の冬は、またあの動物園、行きたいです」
「何回だって連れてってやるよ」
うらたさんは私を見つめた。
翡翠の瞳は、木漏れ日のような暖かさをたたえていて、春の空気みたいに澄んでいる。
愛おしそうに細められるネフライトの色合いに、胸がキュンと痛くなった。
「俺さ、Aはぜったい、坂田のとこに行くんだと思ってた」
「どうしてですか？」
「だって、あいつのほうが、ちゃんと気持ちを言葉にしてるし、面白いし、歳も同じじゃん？」
「だから俺、お前とデート終わって帰ったあと勝手に、終わっちまったなあ、って思ってた」と少し笑った。
「私は、不器用なうらたさんが好きですよ」
「なんだよ、それ」
うらたさんが吹き出す。
こつん。とおでこをくっつけて、秘密を共有しあうみたいに、私たちは笑った。
それだけで、こんなにも心が穏やかになる。
「不器用で、いつも一言多くて、でも、優しいうらたさんが好きです」
「貶すか褒めるかどっちかにしろよ」
うらたさんはくつくつと喉を鳴らした。
「褒めてますって」
「俺は、お前の全部が好きだけどな」
「……そういう不意打ちしてくるところは嫌いです」
「なんでだよ！」
穏やかな時間が流れ始める。
この先もずっと、うらたさんと一緒にいる時間を大切にしていきたい。
そう思いながら、私はうらたさんの腕の中で笑った。
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りひと(プロフ) - みかんさん» みかん様/ コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです♪今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年1月1日 10時) (
レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 完結おめでとうございます！りひとさんの作品大好きです。これからも応援しています、頑張ってください！ (2020年1月1日 9時) (レス) id: 6edfb9ce46 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - しぃさん» しぃ様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！またコメントお待ちしておりますね♪ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まつりさん» まつり様/ありがとうございます！新年には新しい作品も投稿してまいりますので、今後ともよろしくお願いします♪またコメントお待ちしておりますね！ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好きな作品なので2人分のルートを作ってくださり、とても嬉しかったです！他の作品の更新も楽しみにしています (2019年12月31日 19時) (レス) id: 42c92e6201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月24日 11時
