人狼 ページ10
「はあ…すっかり遅くなっちゃったな」
部活動を終え、1人寂しく帰路に着いたその日は満月だった。
お爺、おきてるかな…最近夕方の5時には寝てるからな…確実に寝てるな。ご飯は作ってくれてるだろうけど完全に寝てる。孫的確信がある。あと今日の夕飯はそーめんな気がする。孫的勘。
アオォーン…
「…野良犬か…」
こんな夜道で野良犬に会いでもしたら私、絶対対処できない。犬は好きだけど野良犬は気性が荒いし、何より病気を持っているから噛まれたらひとたまりも無い。さっさと帰ろう。足を早めると同時に、後ろから犬の走る音が聞こえて来た。
「(さっきの遠吠え、かなり遠くから聞こえてたはず…)」
別の野良犬だろう。ちら、と後ろを振り向くと、そこには目を疑うものがいた。
「お、狼男…?」
毛むくじゃらの身体に、人間の顔。少し幼いその顔は、少年のようにも見える。すぐに私に追いついた狼男は、目を細めて私を見ると、スッと立ち上がって至近距離で私を凝視する。くんくん、くんくん。
「(私は美味しく無い私は美味しく無い私は美味しく無い…)」
「…何で人間のお前が妖狐さんの妖気をそんなに強く纏ってる」
「…えっ?」
鋭い瞳でじっと睨まれる。よ、妖狐さんって言った…言ったよね今?あ、じゃあもしかしてこの子、狼男じゃなくて人狼…?あ、リアルな妖怪の方…。
こんがらがった頭を整理していたせいで、目の前の人狼くんは業を煮やしグルルルと唸り出した。
「答えろ!」
狼らしくものすごい勢いで襲いかかって来た人狼に、私は思わず目を閉じてあらん限りの声で叫んだ。
「お、おすわりーっ!」
両手で顔を覆い、数秒待っても衝撃は来ない。ちら、と様子を覗き見ると、そこにはしっかりおすわりした人狼くんがいた。え〜、超いい子…。そっと手を伸ばすが、どうやら敵意は喪失したらしく噛みつく気配もない。よしよしと喉を撫でると気持ちよさそうに目を細める姿は完全に飼い犬だ。
「えっと…伏せ」
「ワフッ!」
あ、もう完全に飼い犬。恐る恐る人狼くんの前にしゃがみ、目線を合わせる。ハッハッ、と荒い息を吐くその姿は完全に犬だ。
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サヤノ - めんたい先輩さん» こんばんは、お元気でしたか? 私はちょっと元気と言うか、コロナ騒ぎで色々あって死ぬ程ストレス発散しそうで気が滅入っていたんです…実はコロナに巻き込まない様に私は買い出しして、自斎しています、ですが・・毎日真剣に読むのも肝心ですので大丈夫です。 (2020年4月21日 20時) (レス) id: 7cd0816ef6 (このIDを非表示/違反報告)
珠華姫(プロフ) - 最近、ぬーべーハマってきて、中でも玉藻先生大好きだから本当に面白いです!楽しみにしてますね。無理はなさらないように頑張ってください (2019年7月10日 21時) (レス) id: d92aabc503 (このIDを非表示/違反報告)
めんたい先輩 - みなさん有難うございます、大変励みになったのでたくさん更新しておきました( ˘ω˘ ) (2018年12月31日 20時) (レス) id: da9cc08ab3 (このIDを非表示/違反報告)
サヤノ - 此度の連載夢小説の狐の嫁入りをとことん応援しています。 (2018年10月26日 8時) (レス) id: dd5aa67050 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - 嗚呼ーー玉藻先生ヤバいーーー 更新待っています(^ω^) (2018年7月27日 19時) (レス) id: 1185acbb8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めんたい先輩 | 作成日時:2015年3月9日 0時