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誕生、日…?
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そっか…そうだ…
母にも諭されていたというのに私すっかり忘れていたんだ。
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大きいケーキの上ではロウソクの火がパチパチと。
それが私に温かい空間を醸し出して胸を熱くさせる。
そして、その奥で優しく微笑んでいるのが亮平。
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小さくチョコにチョコペンで記してある
26歳おめでとう、という文字が目に焼きついた。
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なんで今日はそんなに優しい笑顔で笑うの?
いつものように、悪魔な亮平で居てよ。じゃないと…
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どうして彼が今日急に
私に時間をくれだなんて言ったのか…
この場所へ連れて来てくれたのか全ての糸が全部繋がった時にはもう。
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あ 「…ぐすっ」
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嬉しくて、涙なんて止まらなかった。
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阿 「…なんで泣いちゃうの」
はぁ、とため息をついた亮平のその声は少し尖っていつつも優しく、温かい。
ん。と渡されたハンカチに涙を拭う。けど、全然それは止まらない。
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あ 「だって、嬉しくって…」
いっつも一人だった。誕生日なんて。
おつまみ片手に寂しくお酒を飲んで…
すがるように母に電話をかけ。
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それもいいって思ってたけど結局
誰かにこうやって祝って欲しかったんだ。
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阿 「ばーか。ほら、泣くなよ…」
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前から亮平の手が伸びて来て、私の頭を優しく撫でる。そんな彼は、困ったように微笑んでいた。
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あのね、亮平…?
人っていうのはそういうことされたら
余計に泣いちゃうもんなんだよ…?
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でも、ありがとう。
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お願い。落ち着くまで今はそのままで…
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作者名:くろーばー。 | 作成日時:2020年12月29日 22時