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『いらっしゃいませ』
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静寂で高貴なムードが私達を包む。
こんなところ生まれて初めて来た…
慣れない環境に思わずタジタジする。
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高そうなシャンデリアに天井が吹き抜けているよい香りが香る高級イタリアンレストラン。
お客さんはまさにフォーマルな装いの人ばかりで…
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あ 「こういう所来るなら先に言ってくれればよかったのに…」
小声で彼にそう言う。
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もっとマシな格好してくればよかった…
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いつもみたいな仕事帰りの格好なんて
ドレスコードなんてあったもんじゃない。
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阿 「先に言っちゃったらつまらないでしょ？」
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確かにそうだけど…
と、ぼやくと亮平はねっ？とあざとく首を傾げた。
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席へと座ると店員さんがやって来てメニューの説明が始まる。
聞いたことのない単語がずらずらと…
私にはこのお店不似合いとしか思えない。
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あ 「なんか凄いね…？」
阿 「A、イタリアンとか来たことない？」
あ 「あるわけないよ。柄じゃないし…」
阿 「そっか。まー、そんな感じはする。笑」
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亮平。今ちょっと小馬鹿に笑った？
でも、うん。今日は特別に見てないフリする。
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阿 「はい。Aの好きなの頼んで？」
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阿 「今日は遠慮してくていいから」
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私にメニュー表を手渡すとそう呟いた。
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こうやって見ると亮平ってすっごく大人だ。
この店の雰囲気にまるで合ってる。
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当店のオススメとあるから。…じゃあこれで。
そう亮平に口を開くと慣れた様子で店員さんを呼びメニューを読み上げた。
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あ 「亮平はよく来るの…？イタリアン、とか」
阿 「うーん。まぁそうだね。大概に」
あ 「そう、なんだ…」
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それは誰となんだろう。
やっぱり職場の人と？それとも女の人とか…？
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女の人、…か。
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阿 「…ふふ、どーしたの。笑」
あ 「ううん！」
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目泳いでたのやっぱり見透かされた…？
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作者名：くろーばー。
| 作成日時：2020年12月29日 22時
