【過去】 ページ2
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満月の夜だったと思う。
"彼"と初めて会ったのは。
『ねぇ、そんな所で何してるの?』
ニコリ、と微笑んでは縁側に座っている彼に話しかけた。
最近、一日中縁側でボーッと空を見上げているのが印象的だった彼。
少しでも、何か役に立ちたい。
そんな思いで知り合ったのが、彼……"椿くん"だった。
「あ……こんにちは。あ、こんばんはか。
俺、病弱で体が弱くて。動けないの、此処から」
そう、寂しそうに微笑む彼。
何だか、とても可哀想に見えた。
『そうなんだ…大変だね、
あ、そうだ‼ 僕が治してあげるよ、
僕は天使なんだ、きっと僕ならできるし‼』
「天使…?」
『うん‼ ほら、見せて‼」
良かれと思ってやった、
彼を助けたいから、元気になって欲しいから。
彼の答えも聞かずに手を翳せば、
いつもの光景が見えた。
彼から"黒い何か"がふわふわと抜けていって、
全部 僕の中に入っていくような、そんなもの。
「すごい……、
体が、軽くなった……」
『ふふ、
これが僕の力‼ どう?
すごいでしょ‼』
「…俺……
ありがと、ありがとう……俺、外で遊べるんだ……
日の光を、浴びれるんだ……」
『えっ、え〜〜っ?!
な、泣かないで⁈
ほ、ほら治ったんだから笑おうよ‼
幸せが逃げちゃう‼』
「……嬉し涙」
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作者名:ぽえむ | 作成日時:2023年7月25日 8時