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three. ページ3

pink/reminiscence.

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「小瀧どうしたん?話しあるとか珍しいやん!」



ニヤニヤしながら俺の顔を覗き込む仕草、ほんまにずるいと思う。




ほとんどみんな帰って、誰もいない教室。

ベタといえばベタや。



淳太達には先に帰ってもらっている。





「もーもったいぶらんとはよ言えやー」



なかなか話したなさない俺に、
痺れを切らしたのか、しげが俺のほっぺたで遊び始めた。




この時間がずっと続けばええのに。




何度めかは分からない、そんな俺の叶いようのない願い。





叶いようがないのは俺のこの気持ちのせいなんや。



そんな気持ちを、今からしげに伝えんねん。

そしたら、もう今までのようにはできないのを分かった上でな。






「しげ、」




ほっぺたを摘まむ手を、そっと下ろして真っ直ぐ見つめる。




「好き。」




しげは一瞬固まったが、
またすぐいつもの調子に戻った。



「いやっ、なに言うてんねん!
その冗談全然おもんないで?」



なんて笑いながらまたほっぺたをつついてくるから、

今度はその手を引き寄せて触れるだけのキスをした。


ちゃんと、伝わるように。





「俺は本気や。本気でしげが好き。」



「……それ、意味わかって言うてる?」




よかった。今度はちゃんと伝わった。


たまにしか見ないしげの真剣な顔を見れば一目瞭然。



「分かっとる。」



「そっ、か。
……ごめん、小瀧のことそういう目で見たことない、し、たぶん、これからも見れん」



俺を傷つけないようになのか、
言葉を選びながらゆっくり言ってくれるしげの顔は
今までに見たことないくらい引きつっている。




うん、知ってたよ。


俺に気がないことくらい。





それでも俺は伝えてん。自分のために。


そんな俺の自己満にしげを巻き込んでしまった。





しげからしたら、所詮たくさんいる友達の中の
一人でしかなかったんやと思う。


このまま奥の方に気持ちを隠してた方が良かったのかもしれん。


でも、それは俺がしんどいから。



って、ほんまに自分勝手や。





もうこれで最後やから。許してな。








最後になるであろう、綺麗な黒髪をした頭を
いつもみたいに優しく撫でて教室を出た。





ついさっきまでしげが触れてた頬を伝う涙に気づかないふりして。




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溶けたラー油(プロフ) - 悪微ぢゃんさん» えっ、ですよね!!ありがとうございます!こういうコメント、すごくモチベがあがります(*´-`)これからも応援よろしくお願いします✊(いやいやむしろありがたいです!笑) (2021年10月1日 23時) (レス) id: 75ad06f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
悪微ぢゃん(プロフ) - コメント失礼致します!こたしげ尊いですよねぇ(´∀`)お話の続き楽しみにしています!主様のペースでこれからも頑張って下さい!応援してます!(上から目線ですみません。。笑) (2021年9月21日 0時) (レス) id: 03264a8bc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:溶けたラー油 | 作成日時:2021年9月12日 23時

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