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まあ、といっても私は生きるのに必死であるから彼らを助けることなど出来ないけれど。
『そうですね、私もそう思います。』
「…その目、初代にそっくり。」
彼は自傷ぎみに笑った。瞳にうっすらとはられた膜は、彼の瞳の美しさを強調させる。
「もう、いないけどね。」
初代は彼らが愛した審神者なのだろう。そんな人間と私に共通点を見いだすぐらいには、彼らは誰かにすがるしかないのだ。
「それと三日月…、あー三日月宗近と鶴丸国永がすまない、だって。瞳に三日月ある人と、あの真っ白な人のことね。俺も、あんたにあんな殺気むけてごめん。」
『その態度の違いはどうしてです?』
「あー。俺ら、自分達から助けにきた人間を拒否するように言われてんの。前の審神者なんてすっごいイイ人で、それこそ霊力だって澄んでて綺麗だった。でもあの審神者、本当に自分がここの審神者だって疑わなかったんだ。それがまあ、ここの審神者の狙いでもあったんだけどね。」
__あいつ、俺らにその審神者をいたぶって殺させるのが元から目的だったみたい
苦々しく顔を歪めた彼は、それでも涙をこぼさない。
「ブラックもブラック。今の審神者は政府のお偉いさんの息子。政府が事実を伝えずにあんたらを送りこむのは、一応、俺ら刀剣男士を守るため。審神者に満足してもらって、俺らは暫く暴力は振るわれない、そんな感じ。」
「だって俺ら、初代のおかげで皆強いんだ。」と苦笑する。刀解や折られるにはおしい、ということだろう。
『そんなに話して大丈夫なんですか。』
「うん。ここまでが現審神者の命令だからね。急遽、新しい命令がくだったんだ。」
ああ、なるほどと納得した。つまりこれはゲームのルールを変更したということだろう。
『今回は全てを知らせたうえで、私を壊しにいく、と。』
「そう。審神者は俺らを物だって認識だから、別に俺らが反抗するとか、俺らが審神者をどう思ってるかなんてどうでもいい訳。ただのストレス発散。あの人、人間が大好きだから。」
随分歪んだ愛をお持ちである。
「だから俺らは好きに行動する。できる限りあんたを守りたい。…まあ、ここまで含めて現審神者の予想通りなんだろうけどさ。」
その通りであろう。私が優しい神様を守ろうと必死になるのがストーリーの道筋であるのだ。
『悪趣味ですね。』
まあ人間が好きだという時点で、現審神者とは趣味が全くあわないが。
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える(プロフ) - 里菜さん» コメントありがとうございます(*^^*)読みやすいような文章を書けているのだとその言葉で安心いたしました。ご期待にそえるよう、これからも頑張らせていただきます(*^^*) (2018年8月26日 9時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
里菜(プロフ) - すごく、文章の構成がお上手なのでとても読みやすくてわくわくします!これからも頑張って下さい! (2018年8月26日 0時) (レス) id: 316072219b (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ねこさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます(*^^*)刀剣乱舞は初めて書かせていただいたのでそういう言葉は嬉しい限りです。ご期待にこたえられるよう、頑張らせていただきます。お気遣いまでありがとうございました(*^^*) (2018年8月24日 15時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - とても面白いです。こんな面白い話の刀剣乱舞の夢小説はなかなか無いのですぐにお気に入り登録してしまいました。更新無理しない程度に頑張ってください。 (2018年8月24日 15時) (レス) id: 8d47e5281f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2018年8月20日 18時