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『縁?鎖の間違いでしょう?』
嘲笑。
『もとから私になんの権利もないくせにいい人ぶらないで。…ああ、人じゃなくて獣の方が正しいか。』
苦笑。
『ああ、で?私はここでいいように殺され、その存在は公にはならないって感じ?まあ別に親も友達もないようなものだし隠すのは簡単だものね。だから、私なんだものね。』
自傷。
悲劇のヒロインなら助けが来るのに、私は生憎敵に意味もなく殺されるモブである。
ハッピーエンドは元々存在しない。
だからこんなヒロインぶっても意味はないし、何か変わることもない。
感情を全て押さえ込んで、バッドエンドでもましなエンドへ向かうよう努力するしかないのだ。
『…ここの審神者はどこですか?』
「っ!?救って、ここを救って下さるのですね!」
『まさか。媚を売る相手を決めただけです。』
醜いと、そう罵ってもらってもかまわない。そんな言葉は今まで腐るほど聞いたし、今さら何かを感じることはない。
「…A様は…。いえ、案内致します。」
止めない、つまり政府の生け贄とはどういうことか私はよく理解できているようだ。
もしかしたらこの式紙は別の方法を期待していたのかもしれないが、政府は私の事をよく調べたのだろう。私はこっちの道の経験は豊富である。
やることはたいして家にいるときと変わらないが、あの女の顔を見ないですむだけましであろう。
「どこ、行くの。」
腕をつかまれた。振り返ると先程の赤い子で、私の腕をつかむ手は痛々しく爪が剥がされている。遠目からみるものとは違う痛々しさがあった。
「加州さん!」
こんのすけは驚いたように口にした。彼は加州というらしい。整った顔立ちは美しく、人間とは比べ物にならなかった。
『ここの審神者の所へ、ですが。』
彼の瞳が揺れる。まるで気づいたのかとでも言いたげだ。
正確には気づいたというか、気づくようにこんのすけに誘導されたというほうが正しいが。
「…やめときな。俺見て分かるでしょ?ろくな目にあわないよ。」
純粋に心配してくれているのだろう。人間にこんな目に合わされておいてなお人間を心配できるのは、やはり人間に作られ、使われた刀だからであろうか。
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える(プロフ) - 里菜さん» コメントありがとうございます(*^^*)読みやすいような文章を書けているのだとその言葉で安心いたしました。ご期待にそえるよう、これからも頑張らせていただきます(*^^*) (2018年8月26日 9時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
里菜(プロフ) - すごく、文章の構成がお上手なのでとても読みやすくてわくわくします!これからも頑張って下さい! (2018年8月26日 0時) (レス) id: 316072219b (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ねこさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます(*^^*)刀剣乱舞は初めて書かせていただいたのでそういう言葉は嬉しい限りです。ご期待にこたえられるよう、頑張らせていただきます。お気遣いまでありがとうございました(*^^*) (2018年8月24日 15時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - とても面白いです。こんな面白い話の刀剣乱舞の夢小説はなかなか無いのですぐにお気に入り登録してしまいました。更新無理しない程度に頑張ってください。 (2018年8月24日 15時) (レス) id: 8d47e5281f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2018年8月20日 18時