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「…ここまで綺麗になった本丸を、私めは久々に見ました。A様は随分と素晴らしい霊力をお持ちでおられるのですね。」
こんのすけは庭の木を見て言った。ここは随分と長い間あの状態で放置されていたらしい。
まあそれは政府の言うとおり私の一つ前の審神者がここの前任であった場合あり得ないのだけれど。
『濁っている霊力がはたして素晴らしいのかは分かりませんが、政府はどうして私に事実を隠そうとするんですか?』
本丸は審神者の霊力で機能する。前任がいい人であったならば、この光景を久しぶりにみるなんてことはあり得ない。
そしてわざわざ霊力を意図的に使わなければ綺麗にならなかったこの本丸は、つまり私のものではないということ。
「…この事態を招いたのは政府の落ち度でございます。事実とは違えど、審神者という形で人間を本丸に送りいれるしかないのです。」
部外者を送りいれる、なんてのは確かに認められるはずがない。しかしこの事態を何とかするには第三者の介入が必要。要するに、『私は生け贄で間違いなかった。』ということ。
「…その通りで、ございます。しかしこれは刀剣男士を静めるためではございませぬ。他ならぬここの審神者の、暴走を止めるため。」
__刀剣男士達は、貴女様に助けを求めていらっしゃります
なにをぬけぬけと獣が、と隠すことなく舌打ちをした。
ここに来たときと同じサンダルに足をとおし、門に向かう。
「お、お待ちくださいませ…!」
『勘違いしないでください。何も私は死にに来たのではありません。生きていられる可能性が全くない話に乗った覚えもさらさらない。』
そうなると先程の前と違うというのは、前の人とは違い霊力が濁っているから、あまり助けに期待を持てないという絶望だろうか。
間違いない。
「か、彼らはどうするのです!?A様に希望を持ってしまった彼らは…!」
『…A様。そういえば、政府は名前については貴方から説明を受けるはずだとおっしゃっていましたね。』
「!?」
『忘れていたのか意図的なのか、どちらです?』
「っも、申し訳ないとは思いました。真名を神様へ明かしてはならない、これは鉄則でございます。しかし真名を知られてしまった以上、それは彼らとA様をつなぐ縁になりえると思った上での…。」
政府も政府なら式紙も式紙。『ふざけるな。』と思ったより低く出た声は、震えていた。
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える(プロフ) - 里菜さん» コメントありがとうございます(*^^*)読みやすいような文章を書けているのだとその言葉で安心いたしました。ご期待にそえるよう、これからも頑張らせていただきます(*^^*) (2018年8月26日 9時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
里菜(プロフ) - すごく、文章の構成がお上手なのでとても読みやすくてわくわくします!これからも頑張って下さい! (2018年8月26日 0時) (レス) id: 316072219b (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ねこさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます(*^^*)刀剣乱舞は初めて書かせていただいたのでそういう言葉は嬉しい限りです。ご期待にこたえられるよう、頑張らせていただきます。お気遣いまでありがとうございました(*^^*) (2018年8月24日 15時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - とても面白いです。こんな面白い話の刀剣乱舞の夢小説はなかなか無いのですぐにお気に入り登録してしまいました。更新無理しない程度に頑張ってください。 (2018年8月24日 15時) (レス) id: 8d47e5281f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:える | 作成日時:2018年8月20日 18時