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穏やかに微笑む彼の手は震えていた。そこで初めて自分が顔をあげてしまっていることに気がつく。



「ふふ、初めてちゃんと僕の顔を見たね。」



思わず安心してしまった。彼が私にわずかながら恐怖を抱いていることに、安心してしまった。



「主、君が怖がっているのは僕たちかい?それとも、今まで形成してきた自分を失うことかい?」



この世界に優しさがあるということを、私は知りたくなかったのだ。手を伸ばせば届く距離にある優しさを知ってしまえば、自分が哀れで舌を噛みきりたくなる。



今までの自分が、馬鹿らしくなる。



「君は自分を守ることに必死だ。だから主、そんな君を僕らにも守らせてくれ。僕らに、守られてくれ。」



スッと彼の手が私の背中にまわり、引き寄せられる。今度は、振り払うことが出来なかった。



「信用しろとは言わない。君にそれは逆効果だろうから。だから僕は、確かに守ろうと僕自身で決めた君を、勝手に守らせてもらうことにするよ。」



彼の手の震えが止まっていた。しっかりと自らの意思がこもった言葉に体の力をぬくと、抱き締める力が強くなる。



『面倒くさい奴ですよ、私は。』



「ふふっ、ゆっくり僕らに心酔してくれればいいさ。」



『ご冗談を。』



「本気だよ。」



柔らかく香る彼の匂い。すんっ、と軽く鼻をならせば、人工的な花の香りがした。



「いい匂いだろう?君が勝手に使ってくれてかまわない、と言ったお金で買ったんだ。」



この本丸が正式に私の所有になったとき、政府からは謝礼として沢山の資材や謝礼金が贈られた。



私は元々物欲がある方ではないし、特に使い道があるわけでもないから、お金の管理を彼ら神様に一任したのだ。



『なによりです。』



「君が素直じゃない、というのはこの頃分かってきたから、精々見栄を張っていてくれ。僕らは時間をかけて君を落としていくことにするよ。」



「まずは香りから、なんてね。」などと茶目っ気を含めてくる彼。あまり悪い気がしていない私に単純すぎていやになりそうだった。

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える(プロフ) - 里菜さん» コメントありがとうございます(*^^*)読みやすいような文章を書けているのだとその言葉で安心いたしました。ご期待にそえるよう、これからも頑張らせていただきます(*^^*) (2018年8月26日 9時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
里菜(プロフ) - すごく、文章の構成がお上手なのでとても読みやすくてわくわくします!これからも頑張って下さい! (2018年8月26日 0時) (レス) id: 316072219b (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ねこさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます(*^^*)刀剣乱舞は初めて書かせていただいたのでそういう言葉は嬉しい限りです。ご期待にこたえられるよう、頑張らせていただきます。お気遣いまでありがとうございました(*^^*) (2018年8月24日 15時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - とても面白いです。こんな面白い話の刀剣乱舞の夢小説はなかなか無いのですぐにお気に入り登録してしまいました。更新無理しない程度に頑張ってください。 (2018年8月24日 15時) (レス) id: 8d47e5281f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:える | 作成日時:2018年8月20日 18時

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