17 ページ17
次に彼女の姿をみたのは、その次の日であった。
昼、バッタリと廊下であった彼女の目元には隈が浮かんでいて、またあの男の着物を着ている。昨日の朝あったときの着物ではなくなっていた。
『…大広間に全員集めろ、とのことですよ。』
声は随分と掠れていた。まるでずっと、声をあげていたかのように。
いや、実際そうなのだろう。
フラりと傾いた彼女の体を支えると、『んっ。』と何かに耐えるような声をあげる。艶っぽいその声は、けして17の少女がだす声ではなかった。
『ま、だ、触らないで下さい。薬、抜けてないので。』
荒い呼吸は、それがなんの薬かを容易に想像させた。今のこの時間まで彼女があの男の下で乱れてたのかと思うと、何が守るだ、と自分が情けなくなる。
「…ごめん。」
『いえ、これくらいですんでよかったです。私はお風呂に行くので、よろしくお願いしますね。』
フラフラと歩きだす彼女の背は小さかった。こんな小さな少女をこの本丸へ送り込んだ政府はなにを考えているんだ、これだから人間はと思うも、全てを否定できない自分が悔しかった。
だって俺は人間に作られ、使われる刀だから。俺を使ったあの人だって人間なのだ。人間をひとくくりには、どうしても出来ない。
全てを憎んでしまえればどれ程楽か、と笑った。
「さぁて。集めますか。」
審神者のことだ、なにするか分からない。けれど俺らはあの男の命令を無視することなんて出来ないのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 337人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
える(プロフ) - 里菜さん» コメントありがとうございます(*^^*)読みやすいような文章を書けているのだとその言葉で安心いたしました。ご期待にそえるよう、これからも頑張らせていただきます(*^^*) (2018年8月26日 9時) (
レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
里菜(プロフ) - すごく、文章の構成がお上手なのでとても読みやすくてわくわくします！これからも頑張って下さい！ (2018年8月26日 0時) (レス) id: 316072219b (このIDを非表示/違反報告)
える(プロフ) - ねこさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます(*^^*)刀剣乱舞は初めて書かせていただいたのでそういう言葉は嬉しい限りです。ご期待にこたえられるよう、頑張らせていただきます。お気遣いまでありがとうございました(*^^*) (2018年8月24日 15時) (レス) id: ace072b99e (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - とても面白いです。こんな面白い話の刀剣乱舞の夢小説はなかなか無いのですぐにお気に入り登録してしまいました。更新無理しない程度に頑張ってください。 (2018年8月24日 15時) (レス) id: 8d47e5281f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：える | 作成日時：2018年8月20日 18時
