約束 ページ15
･
今日は練習を早上がりして、コーチに病院まで連れてきてもらった。
レントゲンを撮ったが経過は良好らしい。早く治して、好きなだけ動き回りたい。
車でウズウズしている俺に「焦りは禁物だぞー。」と運転中のコーチが呆れている。
……頭では分かってるけど、思ってしまうものは仕方がない。やっぱり、早く練習したい。
でも、今できることをやるって、自分で決めたんだ。一度決めたことを曲げる方がダセェ。
コーチに寮の前まで送ってもらい、お礼を言って車を降りた。多分、他のみんなも練習から戻ってきてる頃だ。
部屋に荷物置いたらさっさと飯食おーっと。
そう思って洗濯室の前を通りかかった時、3年生が数人いるのが見えた。スルーするのもなんだし、一応挨拶だけしとく。
「お疲れ様でーす。」
「お、神谷。お疲れ。」
洗濯室にいたのは山形さんと瀬見さん、それから牛島さんの3人だ。何個か並んでいる丸椅子に座っている。
「こんなところで何してるんですか？」
「何って、洗濯終わるの待ってんだよ。駄べりながら。」
……ちょっと意外だけど、3年生って寮でも結構同じ時間を過ごしてるよな。洗濯なんて各々部屋で待機していればいいのに仲良い。
「……神谷。足はどうだった。」
「あ、はい！経過良好みたいです。」
「そうか。」
急に牛島さんに話しかけられて驚いた。牛島さんは同じチームだけど、用がないと自分から後輩に話しかけるようなタイプじゃないから。
心配、してくれてたのかも、しれない。
3年生にも迷惑かけっぱなしだ。
「………すみません、俺、戦力になれなくて…。」
自分で言ってて情けなくて笑えてくる。元々の実力さえ足りていなかったのに、怪我して本当に役立たずだ。
「…謝るようなことじゃねえだろ、神谷。お前が謝ることじゃねえ。」
「瀬見さん…。」
「怪我したお前が一番悔しいのに、気ィ遣うなよ。」
真っ直ぐ目を見ながら、真剣な顔で瀬見さんは言う。その真摯さが心に響いて、ちょっとだけ目が潤んだ。
すると、今まで黙って座っていた山形さんが、丸椅子から立ち上がった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華火(プロフ) - あめめさん» ごめんなさい！外しました！ (2020年4月14日 1時) (
レス) id: 547328387d (このIDを非表示/違反報告)
華火(プロフ) - 。さん» ごめんなさい！外しました！ (2020年4月14日 1時) (レス) id: 547328387d (このIDを非表示/違反報告)
あめめ - とても良い作品ですね！ですが、オリジナルフラグが外れていないです！とても素敵な作品なので、フラグを外して創作活動を楽しみましょう！ (2020年4月3日 16時) (レス) id: c283a9fbdc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華火 | 作成日時：2020年4月2日 23時
