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「でも、今年の方が立場的には気合い入るよな。」
「あぁ。ルーキーにユニフォーム奪われるわけにはいかねえよ。」
新しいメンバーが加われば、その分誰かが外され悔しい思いをするんだ。
「あ、そうだ。俺あいつ上手いと思ったよ、太一。」
「え?誰?」
「柴田勇。MBの。分かるだろ?」
あー、あいつか、と思い当たる節がある様子。
身長も180越えてるし技術もある。
「俺も思った。危ないんじゃない?太一。」
「いや、そんなことは無い。」
「ヒュー、自信満々じゃん、何で?」
太一は無駄にキリッとした顔で言い放った。
「あいつは天童さんとやっていけるほどの器量がまだない。」
「「………。」」
俺も賢二郎もやけに納得してしまい、黙り込む。
たしかに、天童さんと上手くやってかないことには同じコートに立つのは難しいかも知れない。
天童さんと接するにはコツがいるんだ。あれこれ先を読もうとすると高確率で外れるから、とりあえず言われたことは「そういう考えもあるんだなあ」と受け入れること。
トリッキーなことは言うけど、根は悪い人じゃないから、長く接せば好きになる。
「これまでに積み上げた時間も大事だよなー。」
「太一〜、今俺の話してた???」
「うわ!し、てないですよ、天童さん。」
太一の背後からにゅい!と登場した天童さん。この人いつも後ろから現れるな。
「あれ〜?名前聞えた気ぃするんだけど?」
「気の所為ですよ、多分。」
狼狽えたのは一瞬だけで、スンッ、といつも通りの顔に戻った。これがポーカーフェイスか…真似出来ないな。
「ふ〜ん、ま!いいけど!ご飯ご飯〜。」
去っていった天童さんの後ろ姿を見つめて、小さく息を吐き出す太一。
「危ね。…ま、というわけで、今の時点では俺の方が上手くやれる自信がある。」
「なるほどね〜。」
気にしてなさそうに見えるけど、実際はみんな1年のこときにしてるよな。
試合出てる組はまだいいとして、俺みたいなベンチ入りギリギリの奴らは気が気じゃないんだよ。
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華火(プロフ) - こころさん» わーいありがとうございます!頑張ります〜 (2019年9月18日 23時) (レス) id: 80f48dce8e (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!頑張ってください (2019年9月17日 17時) (レス) id: 398e0a716f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華火 | 作成日時:2019年7月31日 0時