俺らサンコイチだもんな【白鳥沢】 (ページ15)

今日:10 hit、昨日:7 hit、合計:66,784 hit

･ページ15

工にはあんな偉そうなこと言っといて、俺はどうなんだよ……。

今日フルで出場できたのは一試合もない。赤倉が出たセット以外はほとんど山形さんで、俺はちょこちょこ代わるだけ。

しかも、俺は今日、ノっていない！！！

調子がすげえ悪いわけではないんだけど、ブロックがのワンタッチボールに1歩出遅れたり、フライングレシーブで手首の返しが甘かったり…。

ちょっとしたミスが多いんだ。周りは気づくか気付かないかくらいの違和感。

…………1番バレたくない監督にはバレているんだろうけどな。

少ないチャンスを活かしきれないのは、俺だ。

「……はぁ……。」

「五色には色々言っといてお前も元気ないのかよ。」

「うわ！？……賢二郎？」

さっき太一がいた場所からひょっこり出てきた賢二郎。……え、いつからいた？

「俺も太一と一緒に聞いてたけど、Aが太一にしか気付いてなさそうだったから隠れてた。」

「……お前たまにそういうとこあるよな。」

いたずらが成功したように笑っている賢二郎。

えー、俺ため息２回もついちゃったよ。恥ずかしいんだけど。

「いるならいるって言えよ！」

「Aの自己嫌悪タイムが始まってタイミング逃した。」

「うっ、」

……何も言い返せねぇ。

俺がぐぬぬ…と唸っていると、「何、犬？」と冷たい反応をされてもう泣きそう。

「何落ち込んでんだよ。あんなん調子悪いうちにも入んねえだろ？元気出せよ。」

「俺、油断しちゃうから優しくしないで！！」

「集中力が足んねえんだよ、1年のことばっか考えてんからプレーに支障が出んだろ？そんなんだとマジでユニフォーム奪われるぞ。」

「怖！！二重人格！？！？」

優しくしないでとは言ったけど！！言ったけども！！！

賢二郎の豹変ぶりに驚きを隠せない俺。

そんな俺を見てため息をつく。

「……はぁ、おい、考えてみろよ。今回の合宿は新しい戦力試すためのもんなんだ。お前の出番が少ないのは当たり前だろ？」

確かに、賢二郎でさえ1年セッターと代えられていたし、大平さんも1年WSと代えられていた。

「そうだけどさ…、」

「無駄なんだよ悩んでる時間が。はやく切り替える努力をしろよ。」

「……」

いよいよ何も言えなくなる。

賢二郎は、ソレが分かる相手にしか正論を振りかざすことはしない。俺なら分かるって信じてるからこういう厳しい言い方をするんだ。