No.22 我慢強い ページ22
家に帰宅し、ブレザーを脱ぐ。
まだAは帰ってきておらず、チャンスだと思い、ソファに寝転んでいる母さんに話し掛けた。
及川「母さん。合宿の許可を下さい」
「……そうねぇ。許可したいのは山々なんだけど」
テレビから目を離さず、又もや言葉を濁す母さん。
今回は逃げないよ。
及川「Aが心配なの？大丈夫じゃない？」
「…」
及川「そ、それに、一人でもスマホもあるんだし大丈夫だって」
「徹」
急に真面目な顔つきになり、リビングの気温が下がった気がした。
及川「な、なにさ…」
「Aちゃんね、家族と出掛けた事なかったのよ」
及川「え…」
「両親二人とも仕事で忙しくてね。我儘が言えずに育ったの。昨日、徹が怒って自室に篭った時があったでしょう？その後、Aちゃんなんて言ったと思う？」
及川「……」
なんて言ったか、なんて分かるわけない。
あのガキの事だ。碌でもない事を言ったに違いない。
「『私は大丈夫だから、とおるを合宿に行かせてあげて』」
及川「……え」
「とおるの一番の楽しみははじめ兄達とバレーをする事なんだ、自分が邪魔しちゃいけないんだって…そう、Aちゃん言ってた」
及川「Aが……」
「うん。それとね、私の事も『二人で旅行楽しんでください』って…『一人は慣れたから』って。
あの子、お兄ちゃんが出来たみたいって喜んでて、いっぱい思い出作るんだって張り切ってて。
それでも、一人でも大丈夫だって言える＿＿＿＿＿？」
その後は何も言わなかった。
Aが帰ってきたから。
「さっ！Aちゃんも帰ってきた事だし、ご飯にしましょうか！」
『…？何かあったんですか？』
「んーん！何にもないわ！」
どこが重い空気に察したのか、Aは頭を傾げていた。
『どうかしたの？いつもの馬鹿ありありのとおるじゃない』
及川「……何でもないよ」
『…変なの』
俺は何も言えなくなった。
どう思えばいいのか…どうすれば正解なのか……
この複雑な気持ちを紛らわすため、Aの頭を撫でた。
及川「……ねぇA」
『なに？』
母さんが居なくなり、二人っきりになった今、Aに話し掛ける。
及川「俺が合宿に行ったら寂しい？」
『…』
スプーンを机に置き、俺の目をしっかり見つめる。
『…とおるのしたいようにすればいい』
決して、寂しいかは言わずAは答えた。
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はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (9月29日 8時) (
レス) @page48 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
パッチ - いやかわよ(´‘▽‘｀) (2022年8月13日 23時) (レス) @page1 id: f3deab0936 (このIDを非表示/違反報告)
のん！ - 更新停止なんですか！めっちゃ面白いです！続き楽しみにまってます！！頑張ってください！！！ (2020年11月29日 11時) (レス) id: c484b15809 (このIDを非表示/違反報告)
MiSo(プロフ) - 面白いし、楽しいので大好きです！！更新停止中ですが、再開したら無理しないで頑張ってください！！再開されるのを楽しみに待っています！！ (2020年3月8日 1時) (レス) id: 78c105b37d (このIDを非表示/違反報告)
こーこ(プロフ) - なんかもう有栖川ちゃんいい子に見える…。久しぶりにもう一回全部読み直しました！やっぱり最高です！ (2019年11月29日 13時) (レス) id: b13e5395fd (このIDを非表示/違反報告)
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