おまけ ページ31
▫️(？？視点)
｢なんか、支配人すごく機嫌よくなかった？｣
｢帰ってきたとき高笑いしてたよ｣
｢え？あの人が？｣
従業員の話がやけに耳につく。
彼らの前で笑い声をあげるなんて珍しい。よほどいい事があったのだろう。これから会うので聞いてみよう。きっと話してくれるはずだ。
こちらに気づいた従業員に片手をあげると、頭を下げられた。もう数年来の支配人のお友達なので顔パスで入れてもらえる。そのまま足の速さは緩めず奥の部屋へ向かった。
一際重厚感のある扉をノックをして部屋へ入る。
｢こんばんは！｣
｢あぁ、来たんですね。こんばんは｣
そう挨拶を返してくれた彼は本当に機嫌が良いらしく、支配人らしい威厳のある態度は崩れ年相応な顔で笑みを浮かべていた。
まあ、従業員と客の前以外では大体この顔なんだけど。それを今日は従業員に晒したんだな。
彼のデスクの前に置かれた応接のソファへ遠慮なく腰を下ろす。
｢みんな話してますよぉ、支配人がご機嫌だって｣
｢いいモノを買いました｣
｢いいもの？｣
どんなものだろう。
カジノの支配人をしてお金に困っていない彼が欲しいものなんて思い浮かばなかった。
どんなものかはまだ教えてくれるつもりは無いようだ。
｢半年後にはお見せできますよ｣
｢今すぐは手に入らないってこと？｣
｢えぇ、これからより僕に合うようにしてもらうつもりなんです｣
座ったまま革張りの椅子をくるりと一周回転させる。
先程から支配人の彼らしくない行動だ。よほど楽しみで仕方がないらしい。一挙手一投足を不思議そうに見つめていたのがバレていたみたいで、彼は、剣持刀也は言う。
｢ずっと欲しかったモノを手に入れたので｣
へぇ、半年後が楽しみっすねぇ
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作者名：Nk | 作成日時：2024年1月21日 22時
