僕が買いました knmc ページ29
▫️(一人称視点)
※マジェを元にしたパロ
※モブいます。
｢お嬢ちゃん、これっぽっちじゃ一生返済できないよ｣
目の前の男の人が言う。
私が昼夜問わずに働いた給料でも借金の返済の糧にならないらしい。
私の記憶にすら残ってない家族とやらはどれだけの借金を残したのか。突き飛ばされて床に打ち付けた腰の痛みを感じながら、なぜこうなったのだろうと考えた。
今から2ヶ月前。
一通の白い封筒が届いた。
聞き覚えのない会社名が書かれており、不思議に思いつつも封を開けば、1.2.3…と数えたくなるほどの桁が書かれた請求書だった。
宛先の名前には見覚えのない名前。その下に連帯保証人として、私のは名前が載っていた。
｢なにこれ、｣
呆然としたのも束の間、玄関のドアがつよく叩かれる。ドアの向こうから｢いますよね？お宅の家族が残した借金払ってもらいますよ｣なんて言われ、もうどうしたらいいのか分からなかった。
警察を頼ろうにも、頼ったらどうなるか分かります？と先手を打たれているのだ。そんなの言われてもどうなるか分かんないよ。と、思ったものの怖くて従った。
最初の1ヶ月は、貯めてた貯金も合わせて渡せば、なんとか納得して貰えた。ただ2ヶ月目からは汗水流して働いたバイト代をほとんど渡したのに、足りないと言われたのだ。
これ以上渡したら、生活なんてできない。
床に座り込んだままの私を取り立て屋の男が見下ろしてくる。
ぼんやりと男の靴とそれから私に向かって伸びてくる影を眺めた。そんな様子の私にどう思ったのか、ニヤニヤとした声が降りかかる。
｢そうだ、お嬢ちゃん。稼げる仕事でも紹介してやろうか？｣
私はなんと言おうとしたんだろうか。
開いた口から声が漏れる前に、もうひとつ影が増えた。
｢こんにちは｣
｢なんだ、今取り込み中だ、っ！？｣
｢お仕事ご苦労さまです｣
｢は、はい…なぜ、あなたがここに、｣
｢僕の顔も広くなりましたね。まさか知ってるとは。
と、無駄話をしている暇はありません。これ、彼女の借金を一括返済した領収書です｣
｢は、｣
｢はい！これであなたのここでの仕事はなくなりましたね。お帰りいただいて結構です｣
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作者名：Nk | 作成日時：2024年1月21日 22時
