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まじまじと見てたのはおれだけじゃなくて、Aちゃんもおれたちの衣装に目を輝かせながら見ていた。
｢ふふっ、2人ともかっこいいね｣
｢えぇ？そうっすか？｣
｢ありがとうね｣
真正面から褒められて悪い気などするはずもなく、ガッくんと2人してデレデレとしてしまう。ガッくんなんてさっきの撮影でキメてたのに、面影もなく頬を緩ませている。おれもそうなってるかもと思いながら、自販機へお金を投入した。
｢ほら、Aちゃん。選びな？｣
｢え！そんなつもりじゃなかったのに、いいんですか？｣
｢うんうん、ガッくんも選んでいいよ｣
｢えー！力一さんありがとうございますっす！｣
2人が選び終えてからおれも飲み物を買った。にこにことお礼を言ってきたので、年下はやはり可愛いなと思う。
3人で飲みながら雑談していると、スタッフさんの一人が駆け寄ってきた。
｢伏見さん！力一さん！そろそろ撮影入ります！｣
もう戻らないといけないようだ。
気を引き締め直していると、隣のガッくんもデレデレとした顔を引き締め、撮影用に表情を作り直していた。数回瞬きをするとすっと精悍な顔つきになる。ガッくんってそういうところすごいよねぇ。作るのが上手いってか。
よし戻らないと。Aちゃんへひと声かけようと向くと、ガッくんの方をじっと見ていた。……あぁ、分かるよ。
彼女に近付いてこそっと耳打ちをする。
｢ガッくん、かっこいいでしょ？｣
はっとした様子でおれを見てきた。
驚いた表情もつかの間、感情をこらえるように口が一文字になって眉がさがり下まぶたが持ち上がる。からかってきた事に目で文句は言ってても、表情はさっきガッくんを見てた時と同じだ。
おれが言ったことは当たってたね。
ガッくんが彼女の名前を呼ぶ。
｢Aちゃん、またね｣
先程の彼女と同じように眉をさげ、下まぶたを持ち上げたのに、その表情からは艶やかさを感じた。
撮影用のモードがきっちり入っているのだろう。
あーあ、そんな顔したらAちゃんオーバーキルなんじゃない？
またね、力一さんもまた今度。とたどたどしく返したときの顔は彼女のために黙っておこう。安心して欲しいから言っておくと、かわいかったよ。
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作者名：Nk | 作成日時：2024年1月21日 22時
